表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死にたがりの彼  作者: 白山羊 柘榴
1/1

No.1〖 1日目 ~椎名 綺愛~〗

椎名 愁 (しいな しゅう)

享年15

死因 飛び降り自殺


即死だったそうだ。




昼休み。

賑わう教室の片隅に私はいた。椎名(しいな) 綺愛(きら)

その隣には同姓の椎名 愁 がいて彼もまた私と同様本を開いていた。私はクラスの空気のような存在。彼は真逆でクラスの太陽のような存在。そんな彼が私と同様に読書をするのは周りから面白可笑しく彼の席には多くの友人達が囲っていた。

「愁、お前そんな漢字だらけの読めねーやろ」

「椎名君、何呼んでるの~??」

など多くの笑いがそこにはあった。


そのまま昼休みは終わり、5限目,6限目,放課後へと時間は流れる。放課後のクラスでは

「じゃーな」

「部活めんど~さぼって駅前の新しく出来たカフェ行こ~??」

「「いいね~行こ行こ!!」」

など明るい声が刻々と色を染めていこうとする夕焼け空に響く。


部活時間。私はそのまま机に突っ伏して溜息をつく。

また一日が終わった。

私は学校というものがものすごく嫌いだ。表面上の付き合いな癖にわざわざ深い話をしようとする人間や仲の良い振りをして裏で愚痴を言う女共。脅しては弱者の金をむしり取る勘違い馬鹿。そんな奴等がうじゃうじゃ溜まる学校というものは居心地が悪い。

なにより少し顔がいいからってクラスで人気者となる椎名 愁 がなによりも嫌いだった。誰にでも優しく笑顔で接しる彼は誰からも好かれ嫌う者は私を除いてまずいないだろう。しかし私は彼という人間が一番嫌いだ。何故か。それは彼はロボットのようだからだ。貼り付いた笑顔は取れることはなく24時間営業だ。常に笑顔の彼はとても不気味に思えた。



キーンコーンカーンコーン (チャイム)



私は体勢を起こし帰るために荷物をリュックへ詰め込む。ふと、顔を上げる。教室の端の窓際にはまだ残っている生徒がいた。誰だ?少し気になった。部活動時間も終わり下校時間も過ぎている。忘れ物か?いや、違う。そう考えていると

「おい、お前等まだ帰らんのか」

帰るのを催促する担任の声。咄嗟に私は

『 すみません、すぐ帰ります。』

しかし他に残っている生徒は答えない。

「気をつけて帰れよ」

心配してくれたのか。私は返事を返し教室を出る。まだあの生徒は出てこようとはしない。関係ないか、そう思い玄関で靴を替え外へ出る。


グシャ


唐突だった。目の前に人が倒れている。いや、落ちてきたんだ。頭部一部潰れており身体が痙攣している。私は気付かぬ内に手は小刻みに震え左頬には僅かに涙が滴る。呼吸も乱れ声が出ない。

音に駆け付け担任が来る。

「どうし……、お、おいっ大丈夫かっっ」

担任も流石に動揺してテンパっている。

そこに学年主任も駆け付け冷静に対応し始める。

担任に職員室に知らせるよう伝え、自分は救急車の要請のため119番へと電話をかける。すぐさまに救急車は学校へ着き、生徒を担架へのせ病院へと走る。生徒を担架へ載せる際に見えた横顔に見覚えがあった。

あの顔は……。。『 し、椎名 愁??』小さく震えた声で私は呟いた。その後、私は先生に自宅まで送ってもらい母親へも事情を話してもらった。

その間私は自分の部屋に籠った。目の前で潰れた光景は鮮明に何度もスクリーンのように頭へと流れる。目をつぶっても流れ狂ったかのように頭を振る。部屋を暗くし布団に包まる。耳にイヤホンを付け音楽プレーヤーの音を最大にした。


初投稿。。

『死にたがりの彼』No.1を読んで下さり有難う御座います。連載になりますので次巻は、『愁』目線となり来月の14日の午後に掲載予定です。

又宜しくお願いします。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ