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6.5話 弟ですが、姉ちゃんが変だ

6話の弟視点です。本日は2話更新ということで、このお話は短めです。

「けーちゃん、よーちゃん!ちょっとこっち来て」


 ご飯も食べ終わって部屋でゲームをやってたら、姉ちゃんがやってきた。兄弟一緒の部屋だから姉ちゃんがいるのは当たり前なんだけど……やたらと機嫌がいいんだよなぁ。


「えぇ……なんで?いまいいとこなんだけど」


 オレが言う前に弟の遥一が言ってくれた。俺も今やっているドラ〇エ5がいいとこなんだよね。折角オープントレイバグなるものを見つけたんだからそれを試したい。


「いいからいいから♪そんな時間取らせないし、お願いっ!」


 めんどくさい。それがオレの思ったこと。こっちとしては未知の発見にうずうずとしているんだ。なんで姉ちゃんのお願いなんか聞かなきゃならないのか。オレはそのまま無視してゲームを再開しようとするが……そう言えば姉ちゃんが暴れると非常にめんどくさいというのを思い出し思いとどまる。


 オレは天秤にかける。


 無視してゲームをやってめんどくさいことになるか、今一時だけ姉ちゃんの相手をしてやるか……うん、後者の方がいい気がする。


 遥一も同じ考えに至ったのか、はぁとため息をつきながらベッドから降りてくる。そして姉ちゃんの言う通り指定の場所、姉ちゃんの前に二人で並んで立つ。


 姉ちゃんはまぁ可愛いとは思う。容姿的には。性格を抜きにすればの話。


 茶髪がかった髪は姉ちゃんの世代だとそんな多くないし、すっげぇサラサラしててキレーだ。目は勝ち気な感じ?で細め。たぶん同じクラスの女の子の中では断トツだと思う。実際うちのクラスの男子たちからも人気があるから、その辺は弟として嬉しい。


 だけどそれは姉ちゃんの容姿だけを見たらの話だ。姉ちゃんの性格は結構男っぽい。というか暴君だ。意味わかんないことでキレたり変なとこで細かい。理不尽だなと思うことはしょっちゅうだった。だからこそオレや遥一からすると触れてはいけない爆弾?みたいな感じでめんどくさいんだけど。


 そして今もこうしてわけのわからないことを突然言い出してきてちょーぜつうざい。なんなんだこの姉は。姉ちゃんなんていらないなんて思ったのはほんとたくさんある。


「ねぇなんなのさー。早くマンガの続き見たいんだけど」


 ないす弟よ。オレも早くゲームの続きをしたい。こうして立ってるよりもゲームがやりたい。早く終わんないかな。


 姉ちゃんはオレたちが立ってるのを見てニヤーとしている。お母さんがなんか邪魔してくるのと同じ表情だ。いったいなにをしたいんだろうーー。


「あーもう我慢できないー!ギューッ!」


 姉ちゃんが急に大声を出しオレたちを抱きしめだした。思いの外力が強くて……く、苦しい。


「あーん!可愛い!無理ー!」

「姉ちゃん苦しいー!」


 ね、姉ちゃんがご乱心だ!この人絶対メダ〇ニくらってるよ!オレ回復呪文なんて覚えてないんだけど!!


「あーもうヤバイ!なんでこんな可愛いの!ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイーー」

「うわー!姉ちゃんあついー!くるしー!はなせー!」


 ヤバイのはあんたの頭だよ!どうなってんの!姉ちゃんて意味わかんないけどこんな感じじゃなかったよ!少なくとも抱きしめてきたりとか無縁だったと思うんですけど!


 オレと遥一は姉ちゃんの突然の抱きつきから逃れるべくジタバタと暴れる。


 なんか姉ちゃんの体柔らかいし甘い感じの匂いするし、とんでもなく照れくさい。ていうか恥ずかしい。今まで姉ちゃんて感じじゃなかったのになんなんだよー!


「あーもー!姉ちゃんはなせー!汗くさいー!」


 遥一がそういった瞬間、ビキッ!と空間に亀裂が走ったかのような音が聞こえた気がした。それと同時にあれ程強かった姉ちゃんの腕の力が抜け、オレと遥一は魔の手から逃げることができた。


 遥一はすかさずベッドに逃げ込み布団をかぶり、オレはというと固まったままの姉ちゃんを離れた位置から眺める。このまま雷が落ちるか……やべP〇2電源入れたままなんだけど、セーブしてないんだけど。


 数秒か数十秒か……姉ちゃんの様子を見続ける。すると姉ちゃんみるみると顔を真っ赤にさせていきそのままどこかへ消えていった。まぁ多分お風呂だろうけど。


 それにしても以外だ。そもそも抱きしめ自体が今までの姉ちゃんならありえないことなんだけど、あの姉ちゃんがあんな風に言われてキレないっていうのがありえない。いつもだったらここで雷ピシャーンからのスマッシ〇ュブラザーズなんだけど……まさかこれが前代未聞ってやつなのかな?オレ一つ賢くなった。


 あ、姉ちゃん戻ってきた……やっぱここから雷かな……ってゲジゲジみたいな素早さで機敏に引き出しに向かって着替えを取り出してまた風呂場に向かった。


 ……本当に姉ちゃんがオレの知る姉ちゃんじゃない。


 でもま、前みたいにイミフじゃなきゃどうでもいいや。キレないならキレないでそっちの方がいいし。


「……あ、続きやらなきゃ」


 姉ちゃんのことは早々にどうでもよくなったオレはメニュー画面を開いたままのゲームに戻る。


「えっと確か町を出てから聖水使ってゲームカセットを取り出すんだったよね」


 そしてオレはゲームにのめりこんでいく。

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