1話 お節介そうな美女と神経質そうな青年に助けられたらしい
初投稿です。
ぼちぼち連載を続けたいと思います。
生産系のゲームが大好きです。正統派RPGでも錬金術や生産にはしります。
交易主体のネトゲでも迷わず生産職へ。
「もうすぐお母様に会えるかしら」
私はそっとつぶやいた。
病の為、隔離されてから二月以上が経過した。
もうベッドから起き上がる事も難しく、高熱が続く為に意識を保つ事も困難だ。
お父様やお母様が誉めてくださった、艶やかな髪も今は輝きが失われ、ただでさえ白い肌は熱があるのにも関わらず青白い。
この部屋に訪れるのは、世話役のメイドと執事のセバス、そして時折、医者や薬剤師が難しそうな顔をして治療をしていく。
家族は訪れる事はない。
そんなただ衰弱していく日々の中で、初めて聞く若い女性の怒ったような声が聞こえる。
「まったく、どの国でもお貴族様は対応が遅いんだから!
そうこうしているうちに救える命も失われてしまうでしょ!」
誰だろう、私の前で発する言葉とは思えない。もうろうとする頭で考えていると。
「まぁまぁ、落ち着いて。
ほら、今は目の前のお嬢さんに集中しなさい」
今度は抑揚のない男性の声が聞こえてきた。
「そうね」
と女性が話すと、額にヒヤリとした感触がした。
熱で体が火照っているので気持ちがいい。
うっすらと目を開けると、明るい金髪の健やかそうな女性が私の顔をのぞきこんでいた。
彼女は私の額に手をあてながら、先ほどとはうってかわって優しい口調で話始めた。
「遅くなってごめんね。
あなたは必ず私が助けるから。
これから治療の為に、お薬を飲んでもらいたいの。
リリィちゃん飲めるかな?」
少し迷ったが、奥に控えていたセバスが
「お嬢様、大丈夫です」
と話すと、私はコクリとうなずいた。
さっそく彼女は私の口元に緑色の液体が入った透明な瓶を口元に押しあてた。
それは、ひどく甘くそして苦かった。
なんとか飲みほしたが、あまりの味に咳き込んでしまう。
「あれ。子供向けに甘くしたんだけど」
「何を入れたんですか?」
「えーっと、、、、お砂糖をたくさんと、樹液のシロップに、スパイスにハーブとかたくさん!」
そんな呑気な声がだんだん遠くに聞こえてくる。
久しぶりに暖かい空気に包まれ、私は安心して意識を手放した。