-会-
白雪と真司は、あやかし商店街の表通りを歩いていた。
白雪と二人で外を歩くのはあまり無いので、少々緊張する真司。
「あの……ところで、今日は何を買いに行くんですか?」
「おやつです」
白雪はニコリと微笑む。そして、頬に手を当て今度は困ったような顔をした。
「実は、雪芽が棚にあるお菓子を全部平らげてしまったので……。困った子でしょう? ふふっ」
「お雪ちゃんが……あはは……それにしても、凄い食欲ですよね」
「えぇ、昔からなんですよ。そう言えば、初雪様もよくお食べになっていましたね」
「初雪様ですか?」
聞いたことのない名前に真司は首を傾げる。白雪は真司の方を見ると小さく頷いた。
「えぇ。初雪様は、私の姉のような、母のような存在の方です」
「へぇー」
(何だか、今のお雪ちゃんと白雪さんみたい)
そう思っていると白雪が「ふふっ」と、小さく笑いだした。
「折角ですし、少し寄り道しながらお話をしましょうか」
「え?」
「私の過去と雪芽との出会い話です」
「…………」
白雪は真司の顔を見ると、また笑みを浮か前を向く。それはどこか、遠くを見るような懐かしい思い出を辿るような眼差しだった。
そして白雪は歩きながら自分の過去を語り出す。