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白雪の日記帳-四-(終)

 ○年○月○日

 

 久方ぶりに、この街に帰ってきました。あやかし商店街は変わらず賑やかです。

 私が帰ると皆さん「おかえり」と言ってくれて、私はそれがとても嬉しく思います。

 

 そして、本日やっと真司様にお会いする事ができました。

 真司様は、(はな)の事を私だと勘違いしていました。

 うふふ……菖蒲様の言う通り、面白いお方です。彼と話をして私も何だか彼の事が好きになりました。

 菖蒲様が彼の事を気に入るのが、少しわかるような気がします。

 

 雪芽も、相変わらず元気で安心しました。


 ✿―✿―✿—✿―✿


 ○年○月○日

 

 真司さんという方を知って、もう数週間が過ぎました。

 彼は、本当に優しい方です。初めてお会いした時、様ではなく普通に呼んでほしいと、あのお方は仰りました。

 私達の事が苦手なのに、彼は平等に私達を扱い、優しく接してくれます。

 まだまだ、私達妖怪については怖いようですが、それを表に出さず頑張って乗り越えようとする努力が見えてきます。

 

 そして、菖蒲様もお変わりになられたような気がします。

 以前より、微笑みに光を帯びているというか……なんと言ったらいいかわかりませんが、きっと、真司さんのお陰で菖蒲様も変わったのだろうと思います。


 ✿―✿―✿—✿―✿


 ○年○月○日

 

 今日も相変わらず商店街は賑やかで、雪芽(ゆきめ)も元気です。

 

 そして、今日は(せい)ちゃんとルナが帰ってきました。菖蒲様もとても嬉しそうです。

 勿論、雪芽(ゆきめ)もはしゃいでいます。

 

 やっぱり、賑やかなのは一番ですね。そして、何より今日一番元気だったのは勇さんでしょうか?

 恋をし、失恋し、それでも勇さんは相変わらず元気です。

 

 本当に、この商店街は賑やかですね。

 いつまでも、この賑やかさが続きますように……。


 ✿―✿―✿—✿―✿

 

 ○年○月○日

 

 今日も商店街は賑やかです。

 

 今日は、遂に喧嘩し続けていた小豆(あずき)ちゃんと豆麻(とうま)くんが仲直りをしました。

 二人はお互い想い合っているのに、なかなか素直になれなかったのです。

 でも、今日で晴れて二人は恋人同士。とても、中睦まじいです。

 

 私にも、いつかそんな人が出来るのかしら……?うふふふ。

 

 ✿―✿―✿—✿―✿


 ○年○月○日

 

 今日の商店街は、いつもより更に賑やかです。

 それは何故かと言うと……今日は、一年に一度の百鬼夜行が行われるからです。

 朝早くから雪芽と買い出しに行きました。

 

 雪芽(ゆきめ)ったら、気がつくと食べ物の屋台の前に行くんだから……。まだ、お店も開いていないのに……全く、困った子だわ。

 でも、そんな真っ直ぐ過ぎるのが、雪芽(ゆきめ)の可愛いところでもあり良いところね、うふふふ。

 

 そして、今日の菖蒲様は凛としていてとても美しかったです。

 そう言えば……真司さんは、あの(かんざし)を菖蒲様にお渡ししたのでしょうか?

 

 …………

 …………

 

 

 ーーパタン

 

 白雪は自室にて日記帳を静かに閉じる。そして、傍らでスヤスヤと眠っているお雪の頭を優しく撫でた。


「ふふっ、涎が垂れてる」


 そう呟くと、白雪は微笑みながらお雪の口元を自分の着物の袖口で優しく拭ってあげた。


「私……本当に、ここに来てよかった。今がとても幸せだわ。明日は、どんな事が起こるのかしら」


 白雪は窓から見える丸い月を見上げ、また微笑んだのだった。

 

(終)

 

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『過去録~白雪~』

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