恋と甘味と勝負事-六-
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茶の葉屋を出た真司達は、貰ったクッキーとお遣いの茶の葉を手に持って骨董屋へと向かっていた。
しかし、その途中で真司の前に見知らぬ男の子が立ちはだかった。
「おいっ!!」
「え、え??」
最初はポカンとしたが、お雪は顔見知りなのか「あー!豆くんだー!」と言いながら少年を指さしていた。
「まめくん?」
「ま、まめ言うなっ!まるで、俺の背がちいせぇみてーじゃねーか!!って、そうじゃなくてっ!おい、お前!!」
「は、はいっ!」
「お前、もう小豆に関わるなっ!」
「……へ?」
「お前なんかに小豆は似合わないからなっ!!」
そう言い残し少年は脱兎の如く走り去って行った。
(い、一体なんなのだろう?)
突然のことでその場で立ちつくしている真司の服の裾を、星がクイッと引っ張る。
「……行こう」
「え? あ……う、うん」
「まめくん、相変わらずだね~」
「……うん。小豆と雪芽と一緒で……騒々しい……」
星がポツリと呟いた。
「その"まめくん"って誰?」
「……豆腐小僧」
「まめくんコト豆麻くんだよ~♪ って、星ちゃん、今、失礼なこと言ったー! ぶーぶー!!」
星とお雪の言葉に真司は「あぁ」と、納得し頷く。
(彼が、豆腐小僧だったんだ)
「そう言えば、確かに腰に巻かれているエプロンの端に"豆腐"って書いてあったような……?」
「まめくんのお店はね~、お菓子も売っているけど豆腐も売っているんだよ~。それがまたまた美味しいんだよ~♪」
「……湯豆腐……好き」
「へぇ~。あれ?でも、どうして小豆ちゃんと関わるなって言うだろう? そもそも、小豆ちゃんとは、今日会ったばかりなのに……」