表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/93

猫又の初恋-壱-

挿絵(By みてみん)


 ——季節は冬。


 大阪の南側にある堺市(さかいし)は、雪は積もっていないが時たまチラチラと降っている。しかし、あやかし商店街では不思議なことに雪が積もっていた。


「わーい、雪だるまー! 雪うさぎー♪」


 お雪は骨董屋の庭で、雪まみれになりながら元気に遊んでいた。


「こら、雪芽(ゆきめ)。そんなにはしゃいでいたら転ぶわよ?」


 お雪と一緒に遊んであげているのは、姉でもあり母でもある存在の雪女の白雪(しらゆき)

 お雪は白雪に注意されると元気よく手を上げ返事をした。


「はーい♪」

「ふふふ、相変わらず元気じゃのぉ」

「ははは、そうですね」


 部屋の中で炬燵に入り温かく見守っている菖蒲と真司。

 普段の真司は学校終わりに商店街へと来ているので学ラン姿だが、今は12月に入り冬休み中なので、チェック柄のチノパンにニットのパーカーという全体的に落ち着いた雰囲気の私服を着て商店街に来ていた。

 菖蒲は菖蒲色(しょうぶいろ)の双葉模様があちこちと散らばり、黒の布地に銀色の細い線刺繍されている帯を締めていた。

 帯留(おびどめ)の中央には真っ黒の花が小さく咲いている。ワンポイントで大人っぽさを残しつつも可愛い感じになっていた。

 そして、やはり寒いのか、着物の上からは若紫色の薄い羽織りを肩に掛けていた。

 この店の女主人である菖蒲の正体は未だ謎。商店街にいる以上は、人ではないのは確かだ。

 白雪や周りの妖怪達は、皆、菖蒲を(した)(うやま)っている。この妖怪の街である〝あやかし商店街〟で、最も存在ある人物だ。


 真司は、ふと、人間の世界と商店街で雪の積もり方が違うのか疑問に思い隣にいる菖蒲に聞いた。


「そういえば、どうしてこっちは雪が積もっているんですか?」

「この商店街は同じ次元にあって、別の次元にあるからのぉ」


 温かいお茶を飲みながらまったりと答える菖蒲に真司は首を傾げる。


「同じ次元であって別の次元ですか?」

「うむ。この説明は難しいのぉ〜。まぁ、雪の積もり方が違うのは、今はこちら側に雪女がいるからじゃ」

「あぁ、なるほど」


 雪女は雪を降らせることができるというイメージを持っていた真司は、菖蒲の言葉に心なしか納得する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ