表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

古代ローマ軍の強さ

古代ヨーロッパの覇者ローマ。その覇権を生み出した最強の軍団ローマ軍。


ここまでは皆さんも常識的にご存知の事と思います。では何故ローマ軍は強かったのでしょうか。何故彼らは古代世界を征服できたのでしょうか。


ローマ軍と一口に言っても実際は王政期のファランクス、共和制期・帝政初期のレギオン、末期の蛮族傭兵軍、ビザンティン時代のテマ軍団と様々です。

ですが今の話題はローマ全盛期の話。注目するのは共和制、帝政初期時代のローマ軍です。


レギオンとは5000人から10000人の重装歩兵から構成される集団で、ローマ軍の戦略単位でもあります。各レギオンは更にコホルス(大隊)、マニプルス(中隊)、ケントゥリア(百人隊)に分けられています。

尚ローマ軍団兵がどのような装備、戦法をとっていたかは調べれば直ぐ分かると思いますし、本質的な部分でないのでここでは割愛。

高度に組織化されたレギオンは更にローマ人らしい兵站と機械化によって支えられ、より強力な集団となっています。


このレギオンは征服の原動力の大きな要素であり、非常に重要です。そしてローマ軍はこのレギオンを大量に揃える事で覇者となっていきました。


特に大量動員はローマ軍の華でした。共和制期の最大動員力はポリビウスによれば75万人だったそうです。

実際ポエニ戦争では25万人もの兵を動員していますし、オクタヴィアヌスとアントニウスの内戦では両軍合わせて70万人の兵士がいたそうです。

これは周辺諸国から比べれば尋常な量ではありません。アレクサンドロス大王は3万人の東征軍を維持することする必死でしたし、ヘレニズム諸国最大のセレウコス朝でさえもマグネシアの会戦では10万人でした。


この大量動員を理解するにはローマ軍そのものよりも、軍を構成する兵士達の背景が重要です。


共和制中期まで、ローマ軍の兵士は兵役に従うイタリアの中小農民達でした。彼らは自らの財産である土地を守り、同時にローマ市民としての義務を果たす為に戦いました。

共和制末期の兵士はイタリア諸都市の都市プロレタリアートが大部分でした。彼らは自己の政治的・経済的要求を満たすために軍に志願し戦いました。

帝政期は帝国全域の非イタリア人からなりました。彼らは良くも悪くも帝国に住まう者の一人として、国や自らの権利を守るためにまさしく"帝国"軍として人種に関係なく戦いました。(なので従軍を拒否したユダヤ人は攻められた)


上記の背景を見てもらえば分かるように、ローマ軍の兵士達は戦いの理由があり、自ら戦場へ赴く人々だったのです。だからいざ戦争になっても皆戦う意思に溢れていたために大量の兵士を集める事が出来ました。(行き過ぎて戦争を起こしたがった事もしばしば)


このローマ人の戦争主義はローマ市の発祥が根本にあると言われています。つまり、ローマ市は元々異郷からの移民が作った都市でした。よそ者の侵入を許さない現地のラテン系部族との激しい生存争いの中で培われていったものだと言われています。

ローマ人は時と情勢が変わっても、これらの集団レベルでの戦闘意欲を何らかの形で維持出来た事が征服にとって大きな要因であったのかも知れません。


そしてこの大量の兵士を組織化・マニュアル化、整備された兵站・インフラ、機械化によって一つの軍隊へと鍛え上げ、大征服の立役者へと仕上げていきました。




さてローマ軍の強さの要素であるマニュアル主義、兵站重視、高度な機械化、大量の兵士、愛国心という要素。どこかで聞いたことありませんか?

そうです、アメリカ軍ですね。特に第二次大戦のアメリカ軍に共通する部分が多いです。より効率的・より強力な軍隊を目指そうとすればつまるところこれらに行き着くのかもしれませんね。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ