古代の海戦
古代や中世の海戦といえば皆さんどの様な光景を思い浮かべるでしょうか。ちょっと説明してみたいと思います。
大砲が発明される以前の海戦の形式は大まかに分けて3つです。衝角を使用した突撃、接舷しての切り込み、矢や投射機による射撃です。
衝角の突撃は皆がイメージするガレー船の突撃です。強力で敵の船を一撃で沈めうる反面、高い操船技術が必要になります。下手だと突き刺さったまま一緒に沈んでしまったり、逆に自分から突っ込まれに行ってしまう事もあります。
接舷切り込みは敵船の拿捕にも有効です。そして当然ながら切り込みの場合は船に水夫とは別に陸戦要員が必要になります。レパントの海戦では人員不足のヴェネツィアと大量の陸兵を保有するスペインが水夫と陸戦要員の比率で揉めたりしています。
ローマ海軍で有名なカラス(鈎付き切込み橋)はこの接舷切り込みを強引にやろうとする装置ですね。但しカラスは搭載している船のバランスを崩してしまうという欠点があります。その為ローマ軍が操船に慣れるとカラスは使用されなくなりました。
矢や投射機の射撃戦は火矢を用いて相手の船を燃やす事にも使われます。船の上は帆やロープなど可燃物が結構多いのです。アクティウムの海戦なんかではアグリッパが火矢やカタパルトを射掛けて放火するよう命令しています。また矢は自由に動けない帆船にとっては唯一の攻撃方法ですね。
そして、特別枠としてビザンツ帝国のギリシア火があります。これは易燃性の液体を吹き付けるという一種の火炎放射器で、非常に強力です。この兵器のお陰でビザンツ帝国はウマイヤ朝の侵略を打ち砕いています。当然ながら製法は秘伝で現在でも作り方は分かっていません。