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中3スタートは最悪スタート

沙耶の成長をお楽しみに!

あたしの一番嫌いな人間

①さわやかな顔

②口が悪い

③理数系

④よくモテる

な、わたしのクラスメイト和泉瞬也いずみしゅんや。男子はもとから苦手だったけど、これほどまで人を苦手とするのは初めてだった。原因は去年の秋。放課後、偶然教室に残っていた和泉とほかの男子との会話をあたしが聞いてしまったことからだった。一人の男子がこう言った。

「なあ。なんかこのクラスの・・なんだっけ・・。あれ、ああそう!井之原だっけ?あいつなんか喋るとき変じゃね?どもってんじゃん。しかも人の目ぇみて話さねぇーし。なに病気?」

すると和泉が

「ああアイツな。暗いよな~。てかこの間の理科のテスト俺見ちゃったんだけど56点だったぜ、あれは人生失敗するタイプ。結婚もできねえだろ」

と言ってケラケラ笑った。そのあとも男子たちはあたしの悪口を延々としゃべり続けた。56点でもあたしはうれしかったのに。その日は家に帰って泣き崩れた。

けれど和泉の言うとおり人と話すのが得意じゃないあたしは誰かに愚痴を言うわけではなく、一人でこのいらいらをずっと胸に抱えていた。和泉なんて大嫌いだ。そう思いながら学校につくと・・。

「なんで今年も一緒のクラスなの・・」

新中3年のクラス表をみて涙がでてきそうになる。そう、今日は4月。中学3年新学期。あまりの偶然に自分の運命を呪いたくなった。和泉のこと先生に言っとけばよかったな・・・。後悔が今になって押し寄せる。今年も悪口言われたらいやだな・・。そんなことを考えながら3年5組の教室へ足を運んだ。そして教室に入ってからあたしは青ざめた。そこには一番乗りの和泉がいたのだ。教室にはあたしたち2人きり。《そういえば和泉、いつも学校に来るの早かった。だからあたしいつも学校に来るの遅くしてたんじゃない・・・でも今日はクラス発表の日だったからそんなこと考えずに早めに来たんだった・・。》どうしよう。心臓の鼓動が早くなる。そして自分の席を確認したときあたしはこれまでの人生の中で一番大きなショックを受けた。席は・・和泉の隣。井之原と和泉で隣になってしまったのだ。自分の名前を嫌いになった瞬間だった。ついてない・・。席座りたくない・・。でも座らないと。みんな来ちゃう・・そう思っているけど足がかすんで動かない。

どうしよう

と、その時だった。

「おーっ!沙耶!なに今年も一緒のクラス?」

幼馴染の慶一だった。慶一はあたしのことを一番理解してくれている唯一の友達。慶一だけにはあたしも普通に話せるんだ。

「け・・慶一っ‼‼」

助かった・・。慶斗はあたしが何か言わなくてもあたしがかんがえていることを分かってくれる。もちろん和泉のこともだ。あたしが何となく和泉のことが苦手だということを察知してあたしをいつも助けてくれる。慶一はあたしをきょとんと見た後、教室にいる和泉の姿をみて、ああ。というようにうなずき、

「沙耶!俺今すげーもの持ってんだ。ちょっとこっち来いよ」

とナイスな助け舟を出してくれた。

「うんっ」

あたしはそう言うと慶一のほうへかけていった。

慶一、ありがとう。私今年は慶一ばなれできるように頑張るよ。

でもあたしはこの時気づいていなかった。クラスに集まり始めた女子たちの強い視線に・・。


読んでくださってありがとうございました。

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