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不可死の魔王  作者: ネコノ
第一部「不可死の魔王」
11/30

4-4 「孤独な世界」



「ツヴァイさん……、ツヴァイさん……」

 シャディの何度も呼びかける声が聞こえる。


「落ち着けシャディ!! 彼は生きている」

 騒がしい二人のやり取り。僕はどうしたんだっけ……。

 気絶する前に――――そうだった。漆黒の煙に包まれた男に向かっていったんだ。

 それで吹き飛ばされて……そこから記憶が曖昧だ。


 目を開けると、心配そうにのぞきこむ二人の姿が映る。

 顔を確認して、ほっとしたの二人の表情が緩んだ。


「まったく、君と言うやつは、無謀と言うか何と言うか……」

「そうです。無茶ばっかりして……」

 二人には迷惑をかけてばかりだ。


「二人ともごめん」


「ああ、次から無茶はしてくれるなよ? あの後シャディが取り乱して泣きわめいて大変だったんだぞ?」

 え……、シャディが!?


「べ、別に私は取り乱してなんか……。そ、そういうリメリアさんこそどうなんですか?」

「何がだ?」

「ツヴァイさんが目を覚まさないって泣きかけていましたよ?」

「わ、私はべ、別に泣いてなど……」


 二人は言葉に詰まり、やがて沈黙した。感無量というか……


「シャディ、リメリア。本当にありがとう」

「「なっ――――!?」」

「そこまで心配してくれて」

「べ、別に泣いてなんか――!!」「私は断じて泣いてない!!」

 次の瞬間、二人のすさまじい。シャディの魔法とリメリアの衝撃波が容赦なく襲いかかった。

 本当に死んだかも…………。



 かなりの傷を負っていた。主に二人によってなんだけど……


「いててて――――。ところであの人たちはどうなったの?」

「それがだな……」

 二人は怪訝そうな顔を浮かべていた。


「え―――――!?」


 辺りに目をやった瞬間、戦慄した。

 無残に飛び散った血痕の後。男達のものだと容易に想像できた。


「これ…………」

「あぁ、あのあと急に苦しみだして、こうなった。」

「おそらく、あの漆黒のパワーに耐えれなかったんだと思います」

 漆黒……、あれはいったい何なのだろう……。


「ところで、いつの間に仲直りしたの?」


 さきほどまでいがみ合っていた二人が、何事もないかのように隣合い話している。

 二人はそれに気づき笑った。

「シャディ、さきほどは決闘などと挑発することを言ってすまなかった。君がいなければ私はやられていた。礼を言わせてくれ」


「いえ……、それに先ほどは私も言い過ぎました。ツヴァイさんを助けてくれていたんですよね? 早とちりしてすみませんでした」

 何はともあれ、二人が和解してよかった。


「時にだ、シャディはこれからどうするんだ?」


「これから…………」

 シャディはただ連れ戻しに来ただけだった。もともと城を出ることを嫌っていた。彼女にとってかけがえのない場所。それは分かっている。

 しかし、決して帰ることはできない。僕がいるとシャディを怖い目にあわせてしまう。「わかりません……」

 シャディが連れ戻しに来てくれたことは嬉しかった。でも――――


「来てくれてありがとう。でも、僕は何もせずにただ死ぬのを待ちたくないんだ。だから、フヴェルゲルミルに行く。城へは帰れない」


「そうですか……」

 それに、僕は何もせずにあきらめたくはなかった。


「とりあえず、街にもどろう」

 街へと足を運ぶ。


「待ってください!! 私も行きます」


 彼女の一言に驚愕をした。




                 ―――Unknown―――



 少し時間が遡り。森から少し離れた高台。


「あれが次の魔王様ですかい?」

「あぁ、あの程度の力なら、わざわざ力を測るまでもなかったな」

 そこには二人の男が立っていた。


「ずいぶんとひどいっすね。あの盗賊達は使い捨てですか?」

「俺は奴らに力を与えただけだ」


「うわー、こわこわ」


「それより例の件だが任せたぞ?」

「人使いが荒いなぁ。まぁ、俺としては金さえ出ればいいんですがね」

 男達はその場を去った。


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