1.5
「う、うん・・・」
恐る恐る近づいて左手を指し伸ばせれば、私の存在を確認するかの様に手を嗅いだり、舐めたりしてくる
「(帽子屋が怖がらねぇのは多分自信があるからだろうな・・・。)」
「自信って何の自信よ」
「おわっ、心詠むなよみずほ・・・」
「詠んでない、顔に書いてあった」
「流石みずほ。で、何の自信がぼんにはあるの?」
「お前らいい性格してんな・・・。まぁいい、帽子屋には この獣の主になれる、従わせれる そんな自信がある。見てて分かんないか?帽子屋の顔、すっげぇ恐い顔してんぜ。逆らうな、そんな顔。獣使いにはもってこいだ」
コタがそう言えば、みずほとばんびはハッとする
帽子屋から、殺気の臭いがする、二人は目を見開いて驚いた
あの温厚な帽子屋が、だからだ
「・・・流石コタ。見る目あるね」
「だろ?まぁなんたって俺だからな」
「ごめん、前言撤回」
「うわ、ひでぇ」
「コタ兄、コタ兄!」
「ん?」
「あの獣、コタ兄がくれた双剣に入っちゃったよ?」
不思議そうに双剣を見つめる
花びらみたいに散ったと思えば、煙みたいになって双剣に入った獣
「そりゃぁ、お前獣が認めたんだろ。帽子屋が主だって」
あぁ、そっか
双剣に入ったんだ
コタ兄から貰った大切な物だから
「獣は大切なナニカに宿るって言うしね。ぼん、絶対手放しちゃだめだよ」
「うん・・・」
「自信なさげだな、オイ」
「急にお前は獣使いだとか、純血じゃないとか、獣を従わせろとか言われても実感ないだろ」
「みずほみたいに飲み込みが早いわけじゃないもんね」
「それは褒めてるのか?ばんび」
「さぁ、どうでしょう」
「ぷっ・・・」
二人の漫才(?)に思わず噴き出してしまった
すると、頭をみずほに撫でられた
「ぼんは笑ってた方がいいよ」