1.4
大広間に戻ると、ばんびたんとみずほがソファーに座って何かを話していた
「みずほー、ばんびたーん」
「あ、コタいた?」
「うん、いたよ。着替えたら来るって」
「まだパンイチの癖は直ってないのね」
「・・・コタは何か言ってた?」
「ばんびとみずほの血は興奮する!って騒いでた(笑)」
「相変わらずだね、コタ」
「会いたくない・・・」
いつ失神してもおかしくないくらい真っ青なみずほ
みずほはコタが苦手みたい
「よぉ!久しぶりだな!」
寝室から出てきたコタ兄
・・・うん、お洒落な格好でよかった
いつもは吸血鬼のくせに白衣着て合成実験してるから白衣で来るんじゃないかって心配した
「相変わらずみたいだね、コタ」
「・・・」
「硬直してる・・・」
コタ兄を見た瞬間、硬直したみずほ
「今日も可愛いね、二人とも」
「ハイハイ、コタに用があって今日わざわざここに来たんだからね」
「うん?なんの用?もしかして夜の・・・」
「コタ兄、うるさい」
「・・・、何の用?」
「みずほのスピーカーが調子悪いのよ。お金は後で払うから見てもらっていい?」
「お金はいらない。でも先にあっちのお客さんをどうにかしないとな」
あっち、そう言って玄関を指差すコタ兄
「・・・あ!」
「あの時の獣じゃん!」
「・・・」
そこにいたのは、昼間助けた獣がいた
「え、なに、友達?」
「ううん、昼間助けたんだ」
「ふーん・・・主に見放された獣?」
「多分そうだと思う。今はばんびたんが傷治してくれたけど、見たときはすっごい傷だらけだったし・・・、それに、声がしたんだ」
「声?」
「うん、また人間だ、って」
「・・・帽子屋、お前もしかしたら獣使いの一族かもな」
「え?」
「獣使いの一族は、獣の声が聞こえるんだ。だけどな、普通の獣使いじゃ声は聞こえない。」
「・・・どういうこと?」
「純血じゃない方の一族しか聞こえないんだ」
「純血じゃない方・・・」
「だから多分帽子屋を捨てた両親は、捨てたんじゃなくて、帽子屋の将来を考えて帽子屋を俺の城の前に置いていったんだと思う。純血じゃない、汚れた血、響き悪いだろ?だから獣使いとしての能力を発揮する前に、な」
「・・・そっか、でも別にお母さんもお父さんも恨んでたりしてるわけじゃないんだ」
「そんなことわかってるさ」
グシャグシャと私の頭を掻き回す
「話聞いてたんだけど、獣使いって小さいころから訓練されて能力が発揮されるって聞いたことあるんだけど・・・」
「発揮されるっていうより能力が上がるってことだな。まぁ、たしかに帽子屋は異例だな。急に能力が上がるって例は今までなかったからな。あ、あんまり外では声が聞こえるって言うなよ。純血じゃないってだけで差別するやつ等が増えてきたからな」
「うん、わかった。あの獣はどうするの?」
「運がよけりゃあの獣の主になれるだろーな。ま、とりあえず話しかけてみたら?」