1.2
「ん~、うまうま」
「暑いから尚更美味しいねー」
「・・・」
ゼリー入りアイスを頬張りながら、馬車に揺られる
騒がしい街を抜けて、コタ兄がいる山の城へと向かう
「みずほー、一口交換しよー」
「・・・」
なにも言わずズイッとアイスを差し出してきた
「ん、オレンジもイケる・・・。私のラムネだよー」
シャク、とアイスが割れる音がする
「・・・オレンジの方旨い」
「私も思ったー、てかなんで山の中なのに暑いのー?」
「変だね、コタ兄の山は悪寒するくらい寒いのに。ぼん、行きは暑かった?」
「んーん、すっごく寒かっ・・・」
言い終わる前に思い出した
コタ兄の山はコタ兄が気候や風力を操ってる
基本的に寒いところが好きなコタ兄はいつも山の温度を下げている
なのに、今はとてつもなく暑い
「ばんびたん!敵がいるかも!気をつけて!」
コタ兄は今日は外に出ないって言ってたから、多分山の温度が変わってることに気付いていないだろう
だから多分これは敵の仕業
「ん、気配はする・・・」
「ばんび、勝てるか?」
「相手が相手だとちょっとキツイかも・・・、攻撃派がいないからね・・・」
ばんびたんの能力は歌声
歌声で治癒をしたり、能力の上昇、相手の能力の低下、といったサポートの部分の役割を果している
みずほの能力はスピーカー
みずほのスピーカーでばんびたんの能力を上昇、発揮させる
みずほ自身が戦うときは、鬱曲を流し、自身の存在を消して後ろからの不意打ちをするけれど、みずほはチキンな為、あまりしないという(ばんびたん経験談)
私はと言うと、まだなにも能力を発揮していない為、腰につけている双剣で攻撃する
この双剣はコタ兄が私を拾ったときに護身用として渡してくれた大切な物だ
「ばんびたん、敵が現れる前に・・・っ!?」
現れる前に城に行こう、そう言おうとしたけれど、なにかが目の前を遮り、ピッと頬が切れた
「ぼん!」
「大丈夫、これは・・・」
「化学側のナイフ・・・」
目の前を通りすぎたナニカをみずほはすかさず取りに行った
「化学側?なんでコタ兄の山に・・・」
「ぼん!後ろ!」
ばんびたんが叫ぶ
「っ・・・!」
間一髪ナニカからの攻撃を避けた
「・・・化学側じゃなかったみたい」
戦闘態勢に入るばんびたんとみずほ
私も体勢を整えて戦闘態勢に入った