転移と混乱
ぜひ、この作品の世界を楽しんで頂けると幸いです
1
「――うわっ、マジで!?」
俺の名前は結城ハルト。十七歳、高校二年生。趣味は戦略ゲームと歴史漫画。特技は人を笑わせることと、テスト前日の一夜漬け。
そんな俺が今、泥だらけの塹壕の中で這いつくばっている。
「ハルト! 伏せろ!」
クラスメイトの声が聞こえた瞬間、頭上を何かが通過した。空気を引き裂く音。次の瞬間、背後で爆発。土煙が舞い上がる。
「な、何これ……砲弾?」
隣にいたのは副委員長の高峰凛。優等生で真面目で、俺のことをいつも「不真面目」って説教してくる奴だ。今はその顔が土まみれで、唇が震えている。
「落ち着け、凛。とりあえず頭下げとけ」
「落ち着けって……あんた何でそんな冷静なのよ!」
冷静? 違う。俺はただ、状況を理解しようと必死なだけだ。
五分前まで、俺たちは教室にいた。
いつも通りの放課後。窓際で友達と雑談して、ノートに落書きして、明日の小テストのことを忘れようとしていた。
それが突然――
視界が白く染まって。
次の瞬間、地面に叩きつけられていた。
2
「全員いるか!?」
声を張り上げたのは学級委員長の桜井大和。体育会系で責任感が強く、こういう時には頼りになる奴だ。
「わ、私はいる……」
「俺も……」
「足怪我した……」
クラスメイトの声が次々と上がる。数えてみると――全員いる。四十二人全員。
「何が起きたんだ……」
誰かが呟いた。
その答えは、すぐに分かった。
塹壕の向こう側に、兵士がいた。
灰色の軍服。鉄兜。ライフル銃を構えた男たちが、こちらを警戒しながら近づいてくる。
「動くな!」
怒鳴り声。銃口がこっちを向く。
「手を上げろ! 全員だ!」
俺たちは従うしかなかった。
両手を上げて、ゆっくりと立ち上がる。クラスメイトたちも同じように。何人かは泣いていた。震えている奴もいた。
兵士たちが近づいてくる。その顔は警戒と困惑が混じっている。
「……子供か?」
「いや、違う。年齢は……十代後半か」
「制服が見たことない様式だ。敵国のスパイか?」
「スパイがこんな大人数で? しかも前線に?」
兵士たちが俺たちを取り囲む。銃を向けられながら、一人ずつ身体検査が始まった。
「武器はないな」
「こいつら、何も持ってない」
そして――ポケットから何かを取り出された。
「これは……IDか?」
兵士の一人が、俺のポケットから取り出したカードを見て目を丸くした。
俺も初めて見た。
手のひらサイズの金属製のプレート。表面には文字が刻まれている。
【氏名:結城ハルト】
【身分:民間人】
【役職:戦略顧問補佐】
【特記事項:参謀適性A / 戦術眼S】
「……は?」
思わず声が出た。
戦略顧問? 参謀適性? 何それ。
「全員持っているのか!?」
兵士たちが慌てて他のクラスメイトのIDを確認し始める。
「こっちは『前線将校』だと!?」
「こいつは『航空技術者』……」
「『宣伝部員』? 何だこれは……」
ざわめきが広がる。
俺は隣の凛のIDを見た。
【氏名:高峰凛】
【身分:文官】
【役職:内務省補佐官】
【特記事項:行政能力A / 法務知識B】
「……嘘、でしょ」
凛が呆然と呟いた。
3
結局、俺たちは全員拘束された。
トラックに押し込まれて、どこかの施設に連れて行かれた。窓のない部屋に閉じ込められて、何時間も待たされた。
その間、クラスメイトたちはパニック状態だった。
「どうなってるんだよ……」
「帰りたい……」
「お母さん……」
泣き出す奴。壁を叩く奴。呆然と座り込む奴。
俺は――冷静に状況を整理していた。
まず、ここはどこか。
兵士たちの装備を見る限り、第二次世界大戦前後の技術レベル。銃はボルトアクション式ライフル。軍服のデザインは……ドイツ国防軍に似ている。
でも、完全に同じじゃない。微妙に違う。
つまり――異世界。
次に、俺たちは何者として扱われているか。
IDに書かれた情報が全て。
俺は「戦略顧問補佐」。凛は「内務省補佐官」。
クラスメイトの中には「前線将校」「戦車兵」「航空技術者」もいた。
つまり、この世界では俺たちは――最初から"役割"を与えられている。
そして最後に、なぜ俺たちはここにいるのか。
これは分からない。
でも、一つだけ確かなことがある。
――この世界は、俺たちを必要としている。
「ハルト」
凛が声をかけてきた。
「あんた、何考えてるの?」
「色々」
「色々って……」
「とりあえず、生き延びる方法」
凛は目を見開いた。
「生き延びるって……殺されるの?」
「分からん。でも、可能性はゼロじゃない」
「そんな……」
その時――扉が開いた。
灰色の軍服を着た将校が入ってくる。肩章を見る限り、中佐クラスだ。
「全員起立」
低い声。クラスメイトたちが慌てて立ち上がる。
将校は俺たちを一人ずつ見回した。その目は冷たい。
「お前たちは、今から尋問を受ける。一人ずつだ。抵抗すれば射殺する。嘘をつけば拷問する。覚悟しろ」
教室が静まり返った。
そして――最初に呼ばれたのは、俺だった。
「結城ハルト。こっちへ来い」
俺は深呼吸をして、歩き出した。
4
尋問室は狭かった。
机と椅子が二つ。壁には何もない。ただ、隅に兵士が二人、銃を持って立っている。
俺は椅子に座らされた。
向かいに座ったのは、さっきの中佐。
「名前は?」
「結城ハルト」
「年齢は?」
「十七」
「出身は?」
「……日本」
中佐の眉が動いた。
「日本? そんな国は知らんな」
やっぱり異世界か。
「どこから来た?」
「分かりません。気づいたら、あの塹壕にいました」
「何の目的で?」
「目的なんてありません。突然転移してきたんです」
「転移?」
「そうです。魔法か何かで」
中佐は鼻で笑った。
「魔法だと? そんなものは存在しない」
「じゃあ何だって言うんですか」
「それを聞いている」
俺は肩をすくめた。
「俺にも分かりません。でも、IDは本物でしょう? これ、偽造できないんですよね?」
中佐は俺のIDを手に取った。じっと見つめる。
「……確かに、これは本物だ。偽造は不可能。だが……」
「だが?」
「お前のIDは異常だ」
「どういう意味ですか?」
「『戦略顧問補佐』。『参謀適性A』。『戦術眼S』」
中佐は俺を睨んだ。
「こんな評価を持つ人間は、帝国全土でも数えるほどしかいない。それが十七の小僧に? ふざけるな」
「俺に言われても」
「お前は何者だ」
「ただの高校生ですよ」
「高校生?」
「学校に通ってる子供です」
中佐は黙った。
そして――懐から地図を取り出した。
テーブルに広げる。
「これを見ろ」
地図には、戦線が描かれていた。赤と青の線。矢印。数字。
「これは現在の前線だ。我が軍は今、敵国との国境で膠着状態にある。どちらも動けない。このままでは消耗戦になる」
中佐は俺を見た。
「お前が本当に『参謀適性A』ならば――答えろ。この状況をどう打開する?」
俺は地図を見た。
地形。部隊配置。補給線。
情報は足りない。でも――
「敵の左翼が薄い」
「何?」
「ここ」
俺は地図の一点を指差した。
「敵は中央に兵力を集中させてる。でも左翼は手薄。ここを突けば、側面から回り込める」
「それは分かっている。だが、左翼は森林地帯だ。戦車は通れない」
「歩兵ならいける」
「歩兵だけで突破できるか」
「できます。夜間に少数精鋭で潜入。敵の補給線を断つ。同時に中央で陽動。敵が混乱したところで、本隊が中央突破」
中佐は黙った。
「……お前、本当に十七か?」
「そうですけど」
中佐は地図を畳んだ。
「お前を参謀本部に連れて行く」
「は?」
「総統閣下が、お前に会いたいそうだ」
――総統。
その言葉を聞いた瞬間、俺は悟った。
ああ、これ、ヤバい奴だ。
5
参謀本部は、想像以上に威圧的だった。
巨大な石造りの建物。鷲の紋章。武装した衛兵。廊下を歩くたびに、将校たちがこちらを睨んでくる。
俺は中佐に連れられて、その中を進んでいた。
「緊張しているのか?」
「まあ、少しは」
「少し、か」
中佐は呆れたように笑った。
「お前、本当に変わった奴だな。普通、総統閣下に会うとなれば、大人でも震え上がる」
「震えても仕方ないでしょ」
「……その通りだ」
やがて、巨大な扉の前に辿り着いた。
衛兵が敬礼する。扉が開く。
中に入ると――
広い執務室。壁一面に地図。机の上には書類の山。
そして、窓際に立つ一人の男。
黒い軍服。鋭い目。四十代半ばくらいか。背筋が真っ直ぐで、まるで刃物のような存在感。
「総統閣下。結城ハルトを連れて参りました」
中佐が敬礼する。
男――総統は、ゆっくりとこちらを向いた。
「……ほう」
低い声。
「これが、噂の『戦略顧問補佐』か」
総統は俺に近づいてくる。
俺は動けなかった。
理由は分からない。でも、この男からは――何かが出ている。
プレッシャー? いや、違う。
殺気だ。
「結城ハルト。十七歳。突然現れた異邦人」
総統は俺の目を見た。
「お前が、中佐の尋問で見せた戦術案――実に面白かった」
「……ありがとうございます」
「だが、所詮は素人の思いつきだ」
「え?」
「お前の案は、理論上は正しい。だが現実には通用しない」
総統は地図を指差した。
「左翼突破。夜間潜入。補給線断絶。中央突破。全て教科書通りだ。だが――」
総統は俺を睨んだ。
「敵も馬鹿ではない。左翼が手薄なのは、そこが森林地帯だからではない。罠だからだ」
「……罠?」
「そうだ。敵は我が軍がそこを突くことを予測している。だから、わざと手薄に見せている。実際には、森の中に機関銃陣地がある。お前の案通りに動けば、歩兵は全滅する」
俺は息を呑んだ。
「……なるほど」
「それでも、お前の案は悪くない。発想は正しい。だが――情報が足りない」
総統は俺に一歩近づいた。
「参謀にとって最も重要なのは何か分かるか?」
「……情報、ですか?」
「違う」
総統は断言した。
「想像力だ」
「想像力?」
「そうだ。情報は後からついてくる。だが、想像力は――生まれつきのものだ」
総統は窓の外を見た。
「お前には、それがある」
6
その後、俺は参謀本部に配属された。
正式な辞令が出た。
【結城ハルト / 参謀本部付・戦略顧問補佐官】
待遇は――悪くない。
個室が与えられた。食事も出る。クラスメイトたちも、それぞれの「役職」に応じて配属された。
ただし――自由はない。
外出禁止。監視付き。逃亡すれば射殺。
「まあ、当然か」
俺は部屋のベッドに寝転がりながら呟いた。
突然現れた正体不明の集団。国からすれば、警戒するのは当たり前だ。
でも――
「使える」
俺はそう判断した。
この国は、俺たちを使おうとしている。
それなら、こっちも使えばいい。
生き延びるために。
コンコン。
ノックの音。
「入れ」
扉が開いて、凛が入ってきた。
「ハルト、大丈夫?」
「大丈夫も何も、こっちは快適だぞ」
「快適って……あんた、状況分かってるの?」
「分かってるよ。異世界転移。全体主義国家。監視下での生活」
俺は起き上がった。
「で、凛は? 内務省補佐官って、何やってんの?」
「……書類整理」
「マジで?」
「マジよ。ひたすら書類。法律文書とか、行政命令とか」
凛は疲れた顔をした。
「でも……分かってきたわ」
「何が?」
「この国の仕組み」
凛は声を潜めた。
「この国は、完全な統制国家。総統が全ての権力を握ってる。議会も司法も、全部形だけ。反対する者は粛清される」
「……やっぱりな」
「あんた、それ知ってて参謀本部に入ったの?」
「知らなかったけど、予想はしてた」
俺は窓の外を見た。
「でも、選択肢はないだろ。従うか、殺されるか」
「それは……」
凛は言葉を詰まらせた。
「……他のみんなは?」
「バラバラよ。前線に送られた子もいる。技術部に配属された子もいる。宣伝部の子は、プロパガンダ映画の脚本を書かされてる」
「クラス委員長の大和は?」
「前線将校として、訓練中」
「……そっか」
俺は拳を握った。
みんな、無事でいてくれ。
7
翌日、俺は初めて参謀本部の会議に参加した。
巨大なテーブル。周囲には将軍たちがずらりと並んでいる。
階級章を見ると、全員が少将以上。
そして、上座には総統。
「全員揃ったな」
総統が口を開いた。
「では、作戦会議を始める」
地図が広げられる。
「現在、我が軍は東部戦線で膠着している。敵国バルトリア王国は、国境線に強固な防衛線を築いている。このままでは冬が来る。冬になれば、攻勢は不可能だ」
総統は将軍たちを見回した。
「諸君、何か案はあるか?」
一人の将軍が立ち上がった。
「総統閣下。私は正面突破を提案します。戦車を集中投入し、一気に敵陣を突破します」
「却下」
即答だった。
「敵の対戦車砲が待ち構えている。正面突破は自殺行為だ」
別の将軍が立ち上がった。
「では、航空支援を増強し、爆撃で敵陣を粉砕してから進軍を」
「それも却下。敵国には対空砲がある。我が軍の航空機は貴重だ。無駄に失うわけにはいかない」
次々と却下される。
将軍たちの顔が曇る。
そして――総統が俺を見た。
「結城ハルト」
「はい」
「お前の意見を聞こう」
室内の空気が凍りついた。
将軍たちが一斉にこちらを見る。
何だこの小僧は、という顔。
俺は立ち上がった。
「総統閣下。質問があります」
「言え」
「敵国バルトリアの補給線は、どこを通っていますか?」
総統は地図を指差した。
「ここだ。鉄道が一本、国境から首都まで繋がっている」
「その鉄道を破壊すれば?」
「不可能だ。鉄道は敵国領内の奥深くにある。そこまで部隊を送れば、補給が続かない」
「空挺部隊は?」
「我が国には空挺部隊はない」
「じゃあ、作りましょう」
「……何?」
俺は地図を指差した。
「空挺部隊を編成します。パラシュート降下で、敵の後方に潜入。鉄道を破壊。敵が混乱している間に、正面から攻勢をかける」
室内が静まり返った。
一人の将軍が立ち上がった。
「馬鹿な! 空挺部隊など、我が国にはない! パラシュート降下など、非現実的だ!」
「非現実的?」
俺は将軍を見た。
「他国では既に実用化されてます。技術的には可能です」
「だが、訓練に時間がかかる!」
「三ヶ月あれば十分です」
「三ヶ月!? そんな時間はない!」
「あります」
俺は地図を指差した。
「冬まであと四ヶ月。三ヶ月で訓練。一ヶ月で作戦実行。ギリギリ間に合います」
将軍は言葉を失った。
総統が口を開いた。
「……面白い」
「総統閣下!?」
「結城ハルトの案を採用する。空挺部隊を編成しろ」
「ですが!」
「命令だ」
将軍たちは黙った。
総統は俺を見た。
「結城ハルト。お前がこの作戦の責任者だ」
「……え?」
「空挺部隊の編成から訓練、作戦立案、全てお前に任せる」
「ちょっと待ってください。俺、まだ補佐官ですよ」
「では、昇進させる」
総統は宣言した。
「結城ハルト。お前を『参謀本部作戦部長』に任命する」
室内がざわついた。
俺は呆然とした。
「さ、作戦部長……?」
「不服か?」
「いや、そういうわけじゃないですけど……」
「ならば、受けろ」
総統は冷たく笑った。
「お前の言った通りにやれ。もし失敗すれば――銃殺刑だ」
8
その日から、俺の地獄が始まった。
空挺部隊の編成。
パラシュートの開発。
降下訓練。
作戦立案。
全て、俺が指揮することになった。
クラスメイトの中に、航空技術者に配属された奴がいた。名前は田中ケンジ。理系でメカオタク。
「ハルト、マジかよ……パラシュート作れって?」
「作れるだろ?」
「理論上はな。でも、実験もしてないのに」
「じゃあ、実験しろ」
「誰が飛ぶんだよ!」
「……俺が飛ぶ」
「は?」
俺は真顔で言った。
「俺が最初に飛ぶ。それで大丈夫なら、他の奴も飛べる」
「お前、死ぬぞ」
「死なないように作ってくれ」
ケンジは頭を抱えた。
「……マジで無茶苦茶だな、お前」
「今更だろ」
三ヶ月後――
俺は本当に飛んだ。
輸送機から飛び降りた。
パラシュートが開く。
風を切る音。
地面が近づいてくる。
着地。
「……生きてる」
俺は笑った。
「ケンジ、お前天才だわ」
無線越しにケンジの声が聞こえた。
『当たり前だろ! お前を殺すわけにいかねえんだよ!』
そして――
空挺部隊が完成した。
総勢五百名。全員が厳しい訓練を乗り越えた精鋭。
作戦決行は、明日。
9
作戦名は『鉄槌作戦』。
深夜零時。
輸送機が離陸する。
俺も乗っていた。
空挺部隊を率いて、敵国領内に降下する。
「緊張してるか?」
隣に座っていたのは、クラスメイトの一人。前線将校に配属された武藤隼人。元サッカー部のエース。
「まあな」
「俺もだ」
隼人は笑った。
「でもさ、ハルト。お前が立てた作戦なら、信じるよ」
「……ありがとな」
やがて――
降下地点に到着。
「全員、準備!」
扉が開く。
風が吹き込む。
「降下開始!」
一人、また一人と飛び降りていく。
そして――俺も飛んだ。
夜空に、パラシュートが花開く。
地上には、敵の鉄道が見えた。
「よし――始めるぞ」
俺たちは着地して、すぐに行動を開始した。
鉄道に爆薬を仕掛ける。
警備兵を無力化する。
そして――
「起爆!」
爆発。
鉄道が吹き飛ぶ。
「成功だ!」
同時刻――
前線では、我が軍が総攻撃を開始していた。
敵は混乱している。
補給が途絶えた敵軍は、次々と撤退を始める。
そして――
勝利。
我が軍は、国境線を突破した。
10
帰還後、俺は総統に呼び出された。
「結城ハルト」
「はい」
総統は俺を見た。
「見事だった」
「ありがとうございます」
「お前は、本物だ」
総統は立ち上がった。
「結城ハルト。お前を『参謀総長』に任命する」
「……は?」
「参謀本部の全てを統括しろ。我が軍の頭脳として」
俺は言葉を失った。
参謀総長――それは、軍の最高位の一つ。
「総統閣下……俺、まだ十七ですよ」
「年齢など関係ない」
総統は断言した。
「お前には才能がある。それだけで十分だ」
そして――
総統は俺の肩に手を置いた。
「結城ハルト。お前は、この国を勝利に導く」
その言葉が――
どれだけ重いか、俺はまだ知らなかった。
続く
引き続きお楽しみください




