グローバル・ハンターズ・コンソーシアム
グローバル・ハンターズ・コンソーシアムは、世界各地の王国や帝国、連邦国家と正式に契約を結び、冒険、討伐、探索、輸送、護衛などの業務を統括する巨大な国際組織である。外見上は冒険者たちを支援するギルドのように見えるが、その実態は通貨や情報、人材、資源を国境を越えて管理する多国籍経済連盟である。象徴として「双剣を握る翼蛇」の紋章を掲げ、力と知恵の均衡を理念としている。彼らの標語は「働きは誇り、報酬は未来、信用こそが魂」である。
この組織の根幹を成すのは、冒険者を信用資産として評価する「信用格付け制度」である。冒険者の行動は実績、契約の履行率、死亡率、資産運用、倫理的行動など、二百を超える項目によって魔法監査機構により常時監視されている。評価はSからEまでの六段階に分けられ、それぞれの階層には数値指数が割り振られている。この信用値は「魂紋通帳」に刻まれ、改ざんは不可能とされる。高い信用を得た冒険者は、国の英雄として扱われるだけでなく、その名が証券市場で取引されることすらある。一方で、契約違反や裏取引が発覚すれば信用指数が急落し、社会的な破滅を招く。
組織は複数の部門に分かれている。まず、依頼を取り扱う「クエスト発注部門」は、各種依頼を倫理審査や報酬査定を経て登録する。依頼は「クエスト証券」として市場に発行され、冒険者はそれを購入することで仕事を請け負う。この証券は転売や分割が可能であり、冒険そのものが投資対象になっている。信用の高い冒険者ほど証券価値は上がり、彼ら自身が投資家を募って「冒険ファンド」を立ち上げることもある。
次に、通貨や資産の管理を担う「財務部門」では、魔法印章による預かり帳が発行され、どの国の支部でも同じ口座にアクセスできる。通貨や魔石、契約書などが保管され、転移送金網を通じて世界各地に即座に送金可能である。高位の冒険者は「ギルドノート」と呼ばれる独自の信用通貨を発行でき、それは本人の魂紋によって価値を保証される。
さらに、「投資・保険部門」では冒険者を一種の人的資産として扱い、その危険度や潜在価値を数値化して投資や保険を提供する。命を賭ける仕事であるため、死亡や失踪に備えた蘇生保証制度も存在する。富裕層は有望な冒険者に資金を投じ、成功報酬を得る形で利益を上げている。特に英雄級の冒険者は「英雄株」と呼ばれ、その活動報告が市場価格に影響を及ぼす。
「生活支援部門」では、各地に設けられた拠点施設「ハンターズ・ハウス」を運営する。ここでは宿泊、訓練、治療、情報交換が行われる。設備は魔法風呂や鍛錬場、召喚獣の厩舎まで整っており、利用記録も信用評価に影響する。最上位の冒険者には「黄金の宿」と呼ばれる特別な滞在地が用意され、国家の要人との交流の場にもなる。
組織の最高機関は「アーク・コンソル」と呼ばれる十名の評議会で、七名の長老と三名の評議官が世界経済と冒険倫理を監督している。各都市の支部には「支部長」が置かれ、現地の文化や法に応じた運営を行う。査定官は依頼の価値や信用指数を審査し、内部の治安維持を担う「シルバー・セントネル」は不正を摘発するために絶対の忠誠を誓っている。
このようにしてグローバル・ハンターズ・コンソーシアムは、冒険という行為を単なる生業ではなく、世界経済の一部として機能させている。通貨、労働、信用のすべてを握るこの組織は、しばしば「剣と帳簿の帝国」と呼ばれる。多くの国家がその承認なしには遠征や国庫発行を行えないほどに依存しており、事実上、世界の裏側から経済を支配している存在である。
創設者アルシウス・ヴェイルは次のように述べたと伝わる。
「冒険とは、危険を恐れぬ者だけに許される投資である。」
この言葉が、今もなおすべての冒険者と投資家の行動原理となっている。




