炎鹿(エンロク)
【名称】
炎鹿
【分類】
聖炎獣
陽属獣類・火素循環種
【分布】
サンストーン・カリフェート南部砂漠帯
赤岩山脈火口周辺
【形態と特徴】
紅金色の体毛を持つ大型草食獣で、成体は肩高二メートルを超える。角は溶鉄のような光を帯び、蹄が砂に触れるたびに火花を散らす。夜間には体表が淡く発光し、砂漠の暗闇を照らす。
【食性と内燃機構】
鉱草、香木灰、太陽花の種など、香成分を多く含む植物を摂食する。摂取成分は血中の燃質素と反応し、内燃作用を起こして高体温と微細な炎を維持する。
【角の燃焼と再生】
年に一度、角が燃質素の集中によって自然発火し、数日かけて燃え落ちる。燃角期の個体は気性が荒く、群れから離れる。角が焼失した後に新生角が成長し、群れへ復帰する。燃え落ちた角は香鉄灰となり、砂漠植物の肥質として循環する。
【燃質素の性質】
炎鹿の血液に含まれる生体鉱素で、微量金属と香精素を内包する。
外界の熱や光を吸収して内燃を維持する性質を持ち、乾燥すると赤黒い樹脂状となる。
発熱性、光や魔導素に反応する共鳴性、他物質を変質させる拡散性を有する。太陽の血として古くから知られる。
【採取と精製】
採取は自然脱落角や凝縮血のみが許可され、生体抽出は禁止されている。
精製は角灰または凝縮血を砂鉄と混合し、香木灰の煙中で三日三晩燻すことで熾精となる。熾精は持続的な赤光を放ち、熱を失わない。
【用途】
武器では、鍛鉄に燃質素を混ぜた熾刃が内側から温まる刀身を持ち、魔獣戦や霊体討伐に用いられる。槍に封入した焔槍は突撃時に熱風を放つが、扱いは難しい。
防具素材として、布に微粒を染み込ませた火織布は体温保持に優れ、熾革は軽量で耐火性が高い。
日用品として、少量封入した陽灯壺は数ヶ月光を放ち、香導杯は香酒を温めて香気を高める。
【研究動向】
燃質素が魔導素の安定化媒体として利用可能であることが確認され、古代太陽工芸の復興が議論されている。一方、素材採取が砂漠の火素循環に及ぼす影響が懸念され、採取制限と再循環儀式が義務化されている。
【総括】
炎鹿は砂漠生態系における火の循環の中心種であり、その身体と角と血に宿る性質は自然環境と人間社会の双方に強く結びついている。火の理を体現する存在として、広く尊重されている。




