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街道の友へ

《街道の友へ 急ぎの書簡》


お前さん、いまどの街にいる?

こっちはエルドリア帝国の内地が、妙な熱気でざわついている。

知らせずにおくと損をしかねないと思い、急ぎ筆を走らせた。


皇軍の北境遠征が、昨夜になって突然中止になった。

理由は役所でもはっきりしないらしく、兵士たちが軍役証を抱えて右往左往している。


問題はその後だ。

遠征向けに積み上げられていた武具が、帝都から地方の市にまで一気に流れて暴落している。

昨日まで銀貨十枚した鉄の短剣が、今朝は半値以下。

鎧は工房が抱えきれず、荷車ごと投げ売りされている。


こういう混乱の時は、足の速い商人が得をする。

安値とはいえ、中には上物も混じっている。

昼過ぎにはさらに値が落ちるという噂もあって、帝都周りは人の波で落ち着かない。

迷う暇はないぞ。


もしこの近くを通るなら、早めに動いた方がいい。

この混乱が過ぎれば、逆に鍛冶師の倒産で品薄になり、

あとで値が跳ね上がる可能性もある。

商売の種として、見過ごすのは惜しい。


それと、南街道の鍛冶屋の親父も帝都向けの品を押し戻されて困っているらしい。

懇意にしていたお前さんなら、かなり話をつけやすいはずだ。


最後に――

この知らせ、信頼できる他の仲間にも回してくれ。

街道を渡り歩く我らにとって、情報の速さは命綱だ。

お前さんの判断に任せるが、悪い話にはならない。


くれぐれも道中気をつけて。

またどこかの市で顔を合わせよう。


――お前の商売仲間カイナより

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