表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/90

英雄列伝6

《赤紋の剣聖 エルディオ・レッドライン》


一、概説

“赤紋の剣聖”の名で語られる男、エルディオ・レッドラインは、

大陸辺境の片村に生まれた無名の農夫である。

しかし、彼は後世、剣術史の分岐点とまで称される「双環理法」を確立し、

帝国歴の随所にその影を残した異色の英雄として記録される。


彼の語りは数多の記録で食い違っており、

若年にして戦場で名を馳せたとする軍記もあれば、

壮年以降に突如現れたとする村落の口承も存在する。

いずれにせよ、人々は彼を「剣を持たねば静かで優しいが、

一度抜けば烈火のように戦う男」と伝えている。


二、出自と性質

出自は辺境集落の鍛冶兼農夫。

若き頃より赤い布帯を好んで腰に巻き、

村童からは「赤紋のおっちゃん」と呼ばれていたという。

性質は温厚で、どこか抜けた田舎気質を持ち、

余人が想像する“剣聖”とは似つかぬ呑気さを持ち合わせていた。


しかし、

「理に反せぬ限り剣は振らぬ。だが振ると決めたら死の一歩を越えて進む」

と語ったと伝わるように、

剣を握った瞬間だけは別の相貌を示す。


三、武器:ロングソード(長身直剣)

使用武器は、辺境鍛冶が作る素朴な直剣。

後にエルディオ自身が手を加え、

「半身・回転・踏み折り」を組み合わせる独自の技法

――後に**双環理法そうかんりほう**と呼ばれる――

を操るため、重心と長さの調整が幾度も行われた。


記録によれば、

戦場でその剣が描く円は“二つの赤い輪”に見えたとされ、

それが後世の通称「赤紋の剣聖」の語源となる。


四、戦歴と逸話

英雄としての最初の記述は、

帝国北境を襲った魔獣群《黒角群》の包囲戦。

村ごと飲まれるはずだった状況で、

エルディオは単身で突破口を開いたとされる。


・敵将の四腕魔族「クルヴァオ」を三十合以内に討った

・二日間寝ずに村民を護り続けた

・戦後、眠気に負けて鍋の中に顔から落ちた


など、武勇と庶民臭さが同時に語られるのが特徴。


五、晩年と継承

壮年期以降は、帝国に招かれて将軍格に並ぶ立場を与えられるが、

本人は「畑の世話があるから」と辞退し、

村に戻ったと記される。


しかし、その後の各地に残る剣術流派の祖師は、

不思議と彼の名と酷似する「赤紋の人」を師と称しており、

彼が各地を遍歴しては技を伝えたと考える説も根強い。


最期の記録は、

「村の子供たちに剣を教えながら笑っていた」

という曖昧な口承のみである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ