英雄列伝5
《多腕の司祝 サンクレスト・ムニエル》
一、概説
北方の巡礼寺院「蒼輪庁」から現れた祈祷師。
普段は穏やかで酒を愛し、誰にでも分け隔てなく微笑む青年だが、
戦場に立つと背中から 八本の“霊機腕” を展開し、
その多関節の腕で敵を絡め取り、圧倒する異能の使い手。
豪胆さと繊細さが同居するその性格は人々に愛され、
“多腕の司祝”の名で呼ばれるようになった。
二、外見
・年齢不明の青年僧。灰金色の髪を束ね、柔らかな微笑みを絶やさない。
・線は細いが長年の巡礼で鍛えられており、しなやかな身体つき。
・祈祷の際に背中の紋章から蒼白いエーテル粒子があふれ、
八本の霊機腕が半実体として展開する。
・装束は簡素だが、町では妙に着飾っていることがあり、周囲を困惑させる。
三、性質
・心優しく温厚で、誰にでも面倒を見たがる。
困っている者を見るとすぐに助ける。
子どもや動物から妙に懐かれやすい。
・好きになった相手への献身が過剰。
情が深く、一度「守る」と決めた者には徹底的に尽くす。
その熱量がズレてしまい、相手が引いてしまうこともある。
・酒が入ると説教くさくなる。
普段は静かなのに、飲むと愛と人生を語る長い説話が始まる。
しかし根は誠実で、誰も彼を嫌いになれない。
四、能力
■ 霊機腕
背中から伸びる八本の半実体アーム。
金属ではなく霊力の塊。
特徴:
実体化・霧化の可変
最大20メルトまでの伸縮
武器・盾・拘束具としての多用途性
空間感覚の共有による無死角戦闘
治癒祈祷用の“柔腕”モードへの切り替え
本体の肉体戦闘力は低めだが、霊機腕の制御で補って余りある。
■ 《八相護輪》
八本の腕が円環を描き、対象を包み込む絶対守護術式。
外敵の攻撃はほぼ霧散し、内側の対象は安全が保証される。
■ 《涙光の祝福》
心から流した涙が祈祷力に転じる特異体質。
涙の質によっては治癒力が大幅に増すことがある。
そのため“泣き上戸の聖者”と揶揄されることも。
五、逸話
・大型魔獣を霊機腕で抱きしめて鎮めたことがある。
・守護対象に過剰に付き添い、相手が困惑して逃げたことが何度かある。
・巡礼中に出会った子どもたちに慕われ、
涙を流して励まされた際に新たな祝詞を生んだとされる。
六、後世の評価
サンクレストは「慈悲深いのに若干めんどくさい聖者」として残り、
蒼輪庁には彼の姿を描いた壁画が現存する。
多腕の守護術は今も修道者たちに伝えられている。




