都市生活基盤ギルド
都市生活基盤ギルドは、行政や民間商会とは異なる半公的職能組織であり、生活維持、供給、環境管理、知識保存、対外交渉補助などの分野に特化した技術者と職務者の共同体である。構成員は専門能力に基づき登録され、信用制度と技能証明により都市社会の安定に関与する。所属者は国家官吏とは異なり、任務の裁量と責任を個人が負う点に特徴がある。
都市運営における仕事は、戦闘や探索活動よりも継続性、計画性、維持能力が重視される。構成ギルドは多数存在し、地域ごとに役割の比重が異なるが、主な分野は生産、保全、衛生、輸送、記録、交渉の六領域と整理される。
生産領域には食品加工、水源管理、燃料供給、衣類制作、工具製造、建築技術などが含まれる。これらは都市人口の増減や流行に影響されるため、長期計画と備蓄技術が必須とされる。保全領域は都市建造物の維持、橋梁点検、城壁補修、道路整備、排水路観察などが中心となり、破損や劣化の早期把握が重要となる。衛生領域は医療支援、薬剤調合、公衆衛生指導、感染対策、廃棄物処理などを担い、生命維持と社会秩序の基礎となる。輸送領域は物流管理、家畜運用、隊商連携、馬車または魔導輸送技術の維持を扱い、交易都市では最も重視される。記録領域は法規保存、契約書作成、計測文書、歴史保全、研究資料整理など知識基盤を扱う。交渉領域は対外調停、他都市条約、価格調整、文化交流、移民受入統制などを行い、政策と実務の中間に位置する。
各ギルドは職能によって独自規範を持つが、共通する理念は都市全体利益を優先し、短期利得のみを追求しないことである。技術よりも持続運用能力が求められ、成果は数年から数十年単位で評価される。人材は専門性と継続的責任意識を持つ者が求められ、脱落率は低いが、任務不履行や内部不正には厳しい処分が下される。
構成員の報酬は信用値、任務継続年数、責任区画の規模、成功実績により変動し、公的職員に準じる安定性を持つ場合が多い。ただし、記録守護職や感染管理職のように精神的負荷が高い職務は、定期的な再評価と生活保障が提供される。
都市生活基盤ギルドは実力や名声を求める冒険者とは異なり、社会構造そのものの静的維持を目的とするため、その功績は表面化しにくい。だが都市文明において不可欠な柱として、彼らは戦士や魔術師以上に日常と存続を支える役割を担っている。




