笑いあるとこ平和な証拠
桜花幕府 ― 「龍火茶屋の笑い話」
登場:茶屋の娘・龍士見習い・老僧
茶屋の娘が龍士見習いに尋ねた。
「お客さん、そんなに辛い“龍焔味噌”を平気で食べて、舌は大丈夫なの?」
見習いは胸を張って答える。
「俺の舌は龍火に鍛えられてるからな!」
――その瞬間、背後で老僧が咳払いして言った。
「では、その火を使って湯を沸かしてくれぬかの?」
見習い、顔を真っ赤にして沈黙。
娘が笑って言う。
「龍の舌でも、湯は沸かせぬのね。」
この話の教訓:見栄を張るより、茶を吹かさぬ勇気が尊い。
サンストーン・カリフェート ― 「香珠屋の取引」
登場:香光師・若い商人・神官
若い商人が香光師に言った。
「この“サンハート香珠”、割ると願いが叶うって本当ですか?」
香光師は微笑んで答える。
「もちろん。ただし、祈りの言葉を忘れずに。」
商人は慌てて珠を割り、叫んだ。
「金が欲しい!」
……が、光も香りも出ず。
神官が横からぼそりとつぶやく。
「“金”ではなく、“感謝”と唱えるのが正解ですよ。」
商人は肩を落とし、香光師は笑った。
「光は、言葉の心を選ぶんですよ。」
この話の教訓:祈りは願いではなく、感謝の形。
エルドリア帝国 ― 「傭兵宿の黒鉄ジョーク」
登場:傭兵・鍛冶師・宿屋の老婆
傭兵が宿屋でぼやいた。
「くそ、また血晶槍が折れた。明日も鍛冶屋行きだ。」
鍛冶師が酒を飲みながら言う。
「心配するな、折れた分だけ強くなる。」
老婆が笑って言い返した。
「そう言って、あんたの財布も折れたままじゃないかい?」
鍛冶師と傭兵、顔を見合わせて沈黙。
……やがて三人とも大笑い。
老婆が酒を注ぎながら言った。
「エルドリアじゃ、折れたもんほど味があるさ。」
教訓:壊れるたびに、魂が鍛えられる。
マプクブルーム連邦 ― 「風読祭のいたずら」
登場:鳥人族の少年・ケンタウロスの少女
風読祭の夜。鳥人の少年が空から叫んだ。
「風が言ってるぞ!“今日は宿題休みだ!”って!」
地上の少女が笑いながら答える。
「その風、昨日も“掃除は不要だ”って言ってたじゃない!」
少年はにやりと笑って言った。
「風の声は気まぐれだからな!」
少女が手を振って言い返した。
「じゃあ次は、“明日、君が私の代わりに勉強する”って言わせて!」
風が吹き抜け、少年の羽根がくすぐられた。
「……それは無風だな。」
教訓:風も笑う、嘘と真のあいだで。




