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鋼と影の王国

Ironpeak Hegueclc ― 鋼と影の王国


首都はグレイマルヴァ。通称「沈黙の尖塔」と呼ばれる黒鉄の都であり、アイアンピーク山脈の中心部、地熱洞窟の上に築かれた階層都市である。王宮ナハト・フォートレスは山腹をくり抜いて造られた巨大な要塞神殿でもあり、闇魔術学院ヴェイル・アーコン、黒鉄鍛冶の殿堂スティール・フォルスなど、政治・宗教・学術の全てを統べる中枢機関が集中している。推定人口は約八十二万人、王国全体では約三百六十万人とされる。


主要都市として以下のものが挙げられる。

イロス=ナハは「影の工廠都市」と呼ばれ、鉄鉱と魔石の採掘拠点として知られる。闇魔術と金属錬成を融合させた黒鋼合金を生産し、地熱炉が常に赤く輝いている。

ヴォールテンは鉄槍騎士団の本拠地であり、戦士と鍛冶師の街として栄える。ランスの生産で有名で、「影槍の故郷」と呼ばれる。

ルーガル=フェルンは王国の北端にある洞窟都市で、鍾乳洞の中に形成された闇魔術の修行地である。「影僧」たちが祈りを捧げる霊域として知られる。

エンロムは山麓に広がる交易都市で、魔人以外の商人が滞在できる唯一の開放都市である。オブスリウムとガーネットの加工が盛んである。

夜哭の湯郷は王国南端、火山帯と地熱断層の交わる霊泉都市である。大地の底から立ち上る蒸気は「地母の息」と呼ばれ、闇魔術と地熱の融合地として発展した。七つの泉区を持ち、地熱蒸気を利用した精錬・医療・祭儀が盛んに行われる。闇僧や鍛冶師が心身を清める巡礼地でもあり、夜には燐光の湯煙が舞い、影霊の行列「影灯行」が現れるという。霊泉は魔力を鎮め、魂を癒すとされる。


主な産業は三つに分かれる。

黒鉄精錬は、地熱と影魔術を組み合わせて鉄鉱を鍛造する技術であり、生み出される黒鉄は魔力を伝導し腐食しない特性を持つ。この技術は他国が模倣できず、王国最大の経済基盤となっている。

闇魔術工学は、影を媒介とした術式機構の開発を担い、武具や建造物、照明にまで影エネルギーを利用する「影紋機構」が普及している。サイラスウッドの木造兵器技術とも密やかな学術的交流がある。

地熱霊泉学は、夜哭の湯郷で発達した地熱利用学であり、蒸気を魔導的に精製し、金属治療や霊的浄化、温泉機構に応用している。特に「影泉」と呼ばれる黒鉄泉は、魔力調整に不可欠な資源である。


特産・交易品には、黒鉄、オブスリウム、影槍、静寂の仮面、地熱蒸饅、影卵、黒蜜酒などがある。黒鉄は魔力伝導性を持つ超硬金属で、他国の魔導炉にも使用される。オブスリウムは影を封じる黒宝石で、信仰儀式や王族の装飾に欠かせない。影槍は闇魔術を込めた象徴的な武具であり、静寂の仮面は音を吸収する魔織布製の儀式用具である。地熱蒸饅や黒蜜酒は夜哭の湯郷特産で、地熱を利用した料理や甘酒として知られ、湯気の香りに癒しと鎮魂の効果がある。


文化的象徴として、黒鉄・群青・深紅・燐光青の色彩が用いられる。王国の象徴は「黒鉄の槍」と「沈まぬ月」であり、その理念は「沈黙こそ力、影こそ真実」とされる。建築様式は山壁都市構造、燐光照明、影紋柱廊、地熱回廊を特徴とする。学術分野では闇魔術学、金属錬成学、構造魔工学、地熱霊泉学が発展している。


夜哭の湯郷の霊泉は王国中へ蒸気として流通し、儀式、鍛造、医療の三分野で利用されている。湯郷の霊泉は鉄と影の民にとって「生と死を繋ぐ門」とされ、影灯行の夜には湯煙の中を燐光の影霊が行進すると伝えられている。その夜、沈黙の祈りが響くとき、鉄峰王国そのものが呼吸する――と古伝に記されている。

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