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桜花幕府(詳細)

首都は龍櫻京りゅうおうきょう。桜花幕府の中心たる都であり、五重の堀と白壁の城郭に囲まれている。中央には将龍が政を執る櫻龍閣おうりゅうかくと、龍祖を祀る大寺院・龍塔院がそびえる。春になると無数の桜が都を覆い、夜には龍火灯籠が宙を舞う。龍脈が地中を巡るため街全体が微かに光を放ち、「呼吸する都」と呼ばれている。人口はおよそ百五十万人、そのうち九割を龍人が占める。長寿の種族ゆえ人口増加は緩やかだが、学問・芸術・鍛冶の中心地として繁栄している。


特産物として、鉱産は龍鱗粉と魔鉱を融合した神鉄「龍鋼りゅうこう」があり、武具や城の骨材に使われる。農産物には龍脈の加護を受ける黄金の米「龍煌米りゅうこうまい」があり、炊けば微かな光を放ち、龍士の活力源とされる。工芸品では桜樹の樹液を染料に用いる柔らかな絹「桜絹おうけん」があり、舞姫や貴族の衣装として珍重される。飲料には龍脈果を発酵させた泡酒「迷根伊豆めいこんいず」があり、祝宴や春祭に欠かせない。さらに、龍火の残滓を封じた宝石「龍焔石りゅうえんせき」は儀礼灯や祈祷の炉心に使用される。


主要都市は次の通りである。櫻龍閣は将龍が政務を行う中枢都市で、龍脈の心臓部に位置し、軍政・儀典・法を司る。花霞はながすみは詩と香と舞の都で、桜並木に囲まれた劇場や茶屋が連なり、芸術家たちの聖地とされる。蒼雷港そうらいこうは東海岸の大港で、龍風に守られた穏やかな海域を抱き、船職人や水上戦士が暮らす。霊塔院れいとういんは霊龍族の聖地で、幻術や精神術を研究する学僧の都市として知られる。赤燼郷せきじんきょうは龍刀鍛造の中心で、常に炎が揺らめく鍛冶の都であり、龍鋼の炉音が夜通し響く。


主な産業として、赤燼郷を中心に発展した龍刀鍛造業がある。龍鋼の精錬と魔力鍛造の技術は他国に類を見ない。魔力農業も盛んで、龍脈の流れを利用し、龍煌米や薬草、幻茸などを栽培する。桜を核とする香料、茶、絹、酒、舞などの桜文化産業が国家経済の柱となっている。さらに、霊塔院を中心とした霊術研究や学術都市運営、そして春の花霊祭や桜灯祭に代表される観光・祭礼産業も重要な位置を占めている。


庶民の一日は、夜明けに龍鐘の音で目覚め、龍祖への祈りを捧げることから始まる。農民は龍脈田へ向かい、職人は工房を開く。午前には市場「風花市」に賑わいが集まり、屋台では風輪串や桜餅が売られる。昼には家族揃って龍煌飯の膳を囲み、茶を飲みながら休息を取る。武士階級は鍛錬に励む。夕方になると風鈴と灯籠の音が町を満たし、市民は酒場で迷根伊豆を酌み交わす。夜には龍火灯を掲げて感謝の祈りを捧げ、家族とともに静かに眠る。


名所としては、将龍の居城であり龍祖の加護を象る紋章が輝く櫻龍閣、桜と霧に包まれる幻想の平原・花霞原はながすみはら、龍祖信仰の総本山・龍塔院がある。また、名刀「紅牙・火哭」が封じられた聖堂・赤燼殿せきじんでんは炎龍族の祈りの場である。雷龍の伝承が残る蒼嵐岬そうらんみさきでは、嵐の夜に龍影が現れると語られる。春の夜に行われる桜灯祭おうとうさいでは、龍火灯籠を空へ放ち祖霊を天へ送る。都全体が光の海となるこの祭は、幕府の象徴的行事である。


桜花幕府は「龍と桜が共に息づく国」であり、炎と花の美学、誇りと祈りがすべての営みに宿る。戦と芸と信仰が調和する幻想の文明、それが桜花幕府の本質である。


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