聖王国サイラスウッド・コンコード(詳細)
聖王国サイラスウッド・コンコードは、「森が祈り、機械が聖歌を奏でる国」と呼ばれる、自然と機構が調和した神聖国家である。
首都ガランテ・ルミナリアは、宝樹エル=ヴァルナを中心に築かれた螺旋都市であり、森と機械の理を融合させた「聖環構造」によって形成されている。上層には王宮セイクリッド・スパイラがそびえ、中層には学術区と聖堂群が広がり、下層には樹根街ルートアークが存在する。昼夜を問わず、樹液灯と機構灯が共鳴し、都市全体が淡い緑の光に包まれる。この都市は聖職者、技師、巫女、学徒たちが集う文化と宗教の中心地でもある。人口は約四十八万人で、そのうちトレントマター族が六割、人間や他種族が四割を占める。トレントマター族は聖職者や学者、技術者として活動し、人間は商人や工匠、従属都市の管理を担う。精霊体や自律機械は補助的な労働や儀礼に従事している。
主要都市のひとつであるディソーンは「学樹の街」と呼ばれ、聖機院の分院や精霊理術の研究塔が並ぶ知識都市である。トレントマターの学派である樹環学派が拠点を構え、思念石や機構言語の研究が盛んに行われている。人口は約十二万人。
ウィンドレイクは森と金属が共存する鍛冶都市であり、聖機兵と呼ばれる機構兵の製造と修復を担う。周囲の山脈から産出される翠鉄鉱が主要資源で、約九万人が暮らしている。
ミセリス・タエンは癒樹の都と呼ばれ、聖樹の根脈から湧き出す温泉によって治癒と巡礼の地として知られる。聖王国の癒樹女たちが修行を行い、治癒学や薬樹栽培が発展している。人口は約七万人。
フィルヴァンは王国南西の港湾都市で、海霧と森の香りが混じり合う幻想的な景観をもつ。風車塔を管理する巫女たちが風力によって樹液冷却装置を稼働させ、冷却機構や樹液精製の産業を支えている。人口は約五万人である。
サイラスウッドの産業は森の理と機械の叡智に基づいており、主要分野として生体工学、聖機産業、薬樹栽培、儀礼工芸、音律工学などがある。生体工学ではトレントマターの技術を用いて樹体と機構を融合させた再生素材や生体装甲が開発され、聖機産業では聖機兵や儀礼機構の設計と保守が行われる。薬樹栽培では治癒効果を持つ樹液や樹木が育てられ、儀礼工芸では祈祷具や聖衣の製作が盛んである。音律工学は聖歌と機械音を調律し、祈りをエネルギーへと転換する技術分野である。
代表的な資源には、冷却や治癒に用いられるクーラント樹液、光を吸収する金属鉱である翠鉄鉱、樹皮繊維と金糸歯車糸を織り合わせた聖葉織、花弁型の冷却装置である花弁ラジエーター、再生作用を持つメンテナンスメープル、記憶を保存する思念石、夜に発光する聖菌である翠光茸などがある。
王国全体の人口は約百六十万人で、トレントマター族が約四五パーセントを占め、聖職や学術、機構技術などの中心を担う。人間は約三五パーセントで商業や行政を司り、森精霊は約一〇パーセントで聖域の維持や通信を補助する。自律聖機は同じく約一〇パーセントで、労働や防衛を担う。
この国は森の聖意と機械理論が共鳴することで成立しており、豊かな生体資源と高度な機構技術によって周辺諸国の文化と宗教に強い影響を与えている。とくにトレントマター族の女性たちは国家の象徴とされ、その祈りと理が織りなす旋律は森を癒やし、世界に秩序をもたらす「静寂の詩」として崇められている。




