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プロポーズの風習
エルドリア帝国では、プロポーズは女性が男性に行うものであり、「黒月の誓い」と呼ばれている。帝国の文化では、愛を告げる勇気を持つことが力の証明とされ、女性が自らの意志で想いを伝えることが尊ばれている。
このとき女性は、自分の髪の一部を切って男性に渡す習慣がある。これは「帰還の誓い」と呼ばれ、戦場に赴く男性に「必ず生きて帰ってほしい」「私の心は常にあなたと共にある」という願いを込めて贈られる。髪は夜、月光の下で切るのが正式な作法であり、闇の精霊ノクトルの加護を受けるとされている。
髪を受け取った男性は、それを胸元に結び、守りとして戦場に持っていく。無事に帰還した場合、その髪は女性に返され、二人で月の下に埋めるのが伝統となっている。
この風習は、愛と誓いを通して互いの魂を結びつける象徴であり、エルドリア帝国においては戦いと同じほど重い意味を持つ。髪を切る行為は、自らの力の一部を相手に分け与えることを意味し、帝国の理念である「奪い、壊し、築く」のうち、築くという精神を体現している。
このように、エルドリア帝国のプロポーズは単なる愛の告白ではなく、命と誇りを懸けた深い誓いであり、戦乱の世に生きる彼らにとって最も強く、尊い愛の形とされている。




