砂沼総合地形生態産業要覧
編纂 サンストーン地殻探究院
区分 公開準学術記録
一 地形概説
砂沼とは、サンストーンカリフェート南東部に限定して発生する特異砂地形である。外観は通常砂漠と同一だが、内部粒子は超微細かつ帯電反発状態にあり、液体的粘度を示す。このため踏み入った対象は沈下し、歩行・荷車・騎行はいずれも不可能となる。砂面は周期的に波打ち、風ではなく内部流動に起因する砂潮が観察される。
二 内部構造と“砂流”
砂沼内部は上層低粘度帯と深層流動帯の二層に分かれる。深層では地熱と鉱物帯電反応により循環渦が発生し、これを“砂流”と呼称する。砂流は緩慢だが強制下降性を持ち、物体および生物の深層輸送に関与する。渦核の位置は変動し、地表の揺らぎによってのみ判別可能である。
三 生態系成立原理
砂沼内部には砂粒子運動に伴う通気網と、深層に存在する“砂燐”と称される微光性物質が存在すると推測され、生物生存環境の基礎となる。外界とは異なる独自食物連鎖が形成されている。
四 代表生物
一 サンドマグロ 深層回遊大型種。鉱質鱗片を持ち高速遊泳。
二 砂アジ 上層群生小型種。集団行動による攪乱能力を持つ。
三 ロックトビウオ 境界環境適応種。陸上へ跳躍する防衛行動を持つ。
四 サンストーンロックホエール 最大種。砂沼地形を変動させる浮上行動を持つ。
五 サンストーンシーシェパード 高知能補助生物。詳細は後述。
五 港街
砂沼周辺には漁労と交易を目的とする港街が成立している。地盤沈降防止の電磁抜圧杭基礎構造、同心円型区画、砂流観測塔、漁師登録所を備える。日次で砂流予報が掲示され、航行許可は港街評議局による承認制が採られる。
六 砂沼船
砂沼を航行するための特殊船舶である。反砂加工外殻、微振動表層、浅湾型船底、操砂翼を装備し、風帆と地熱磁場変換装置の二系統推進を持つ。操船には砂流感知技能が必須で、免許制が導入されている。
七 サンストーンシーシェパード
一 部分飼育され、漁業補助生物として活用される。
二 知能は人間幼体相当で、記号理解と判断行動が可能。
三 危険渦の感知、誘導、遭難捜索を担う。
四 完全家畜化は未達。研究機関では「協働契約生物」と分類。
五 強制拘束・繁殖実験は禁止議題として審議中。
八 人為利用と危険管理
砂沼は高価値資源圏であるが、方向感覚喪失、急速下降、渦核接触事故が生じるため、砂流情報網、誘導生物、特殊船舶、引き上げ磁場具を併用する三位安全体系が確立されつつある。




