プロローグ ― 七つの声が奏でる大陸
――この記録は、かつて世界が“調和”と呼ばれた時代の断章である。
誰が書き残したのかは分からない。
だが、確かにこの世界は“七つの声”によって形づくられた。
それぞれが異なる祈りを捧げ、異なる理を奏でた――その共鳴の果てに、
我らが“エーテル世界”は誕生したのだ。
文明は歌い、国は祈り、魂は巡る。
この書は、そんな「七大文明の記録」であり、
かつて神々の調べに耳を傾けた者たちの**“大陸交響詩”**である。
世界の名は《エーテル》。
光も闇も、氷も炎も、すべてがひとつの“流れ”から生まれた。
それは大地を巡る生命流――**エーテル(Aether)**と呼ばれる。
人々はそれを「息吹」と呼び、
魔導師はそれを「理」と呼び、
神々はそれを「祈り」と呼んだ。
エーテルはただの力ではない。
それは世界そのものの**声**であり、
七つの波としてこの大陸を震わせている。
光が秩序を奏で、闇が記憶を紡ぎ、
氷が静謐を描き、風が歌を運び、
鉄が形を刻み、自然が理を育み、
そして龍が、命に息吹を与える。
七つの声が重なり合う時、
世界は――**交響**となる。
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今、この大陸には七つの文明が存在する。
太陽の神を掲げる光の帝国。
闇精霊と契約を交わす静謐の国《エルドリア帝国》。
氷と火が交わる北の《フロストファング・ドミニオン》。
龍の血を継ぐ誇りの国《桜花幕府》。
森と機械が共生する聖王国。
沈黙と鉄を尊ぶ山岳の《アイアンピーク・ヘグエクルク》。
そして、風と自由を愛する連邦。
七つの声は互いに響き、時にぶつかり、
やがては新たな調べを生み出してきた。
それが「文明の歴史」であり、
同時に「祈りの軌跡」でもある。
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だが――。
調和が続くと誰が決めただろうか。
七つの波が奏でる音は、美しき和音であると同時に、
不協を孕む旋律でもあった。
いつしか、祈りは歪み、理は争いを生み、
そして世界は再び「沈黙の間奏」を迎えようとしていた。
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七つの声が再び交わる時、
世界は滅び、また創られる。
――古代詩篇《創世交響》より。




