Stage.5 「イベント・夏合宿」
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【登場人物】
猫田翔真 高校1年生。1-C。
ゲームIDは『にゃすけ』。
工藤飛鳥に嫌われてる?
ゲーム研究部所属。
工藤飛鳥 高校1年生。1-C。
ゲームIDは『あすな』。
ゲーム研究部所属。
翔真のことが嫌い(?)
東雲舞 高校1年生。1-A。
ゲーム研究部所属。
腐の者。趣味は遥との談義。
千早雪乃 高校1年生。1-A。
ゲーム研究部所属。
部内で唯一まともかもしれない人。
柏木遥 高校2年生。ゲーム研究部副部長。
腐の者。趣味は舞との談義。
信介とは幼馴染にして、カップル。
須崎信介 高校2年生。ゲーム研究部部長。
責任感が強い。
遥とは幼馴染にして、カップル。
永屋郁久美 通称『いくっちゃん』
ゲーム研究部顧問で1-C担任。
適当な性格。
青い空に、太陽の光を反射して海が輝いている。まさに青春の1ページとでもいうものなのだろう。
俺たち、ゲーム研究部は今……合宿に来ています!
ー1週間前
1学期ももう終わりだな……なんだかんだ色々なことがあったなと感慨深く思う。
「よっ!猫田!」
「あ、片山」
「猫田はなんか夏休みすることあるのか?」
「んー……特にないな」
「おーい、お前たちー、座れー!」
永屋先生が入ってきた。
「いいか!!お前ら!くれぐれも夏休みだからって浮かれるんじゃないぞ!問題起こされたらな……担任である私が責任取らされるんだ。いいな、そんなことで今の安定した職を失いたくない!そして、私は今年の夏こそは運命の相手を見つける!」
永屋先生は本音しか言えないようだ。
「ともかく……お前ら!!!夏休みの始まりだぁー!!!!」
みんなが歓声を上げ、手を叩いて喜ぶ。何も知らない人から見たら、これ以上に狂気的な光景はないだろう。
夏休み中部活はほぼないらしいので、ほぼ暇だ。
俺は夏休みはゲーム三昧することにしよう。
ー数日後。
ロインの通知がなった。
[信介]『大変言いにくいことなのですが。』
[飛鳥]『どうしたんですか?』
[信介]『俺の1学期の部活に行った日数が足りなくて、夏の活動をあと3回増やさなくてはなりません。』
うちの生徒会は幽霊部員撲滅を掲げている。だから、部活に来れなかった部長は幽霊部員扱いされたのだろう。入院してたのだから許してあげて欲しいものだ。
[信介]『なので』
[翔真]『なので?』
[信介]『夏季合宿をします!』
おいおい、嘘だろ。嘘だと言ってくれ。
[遥] 『いつやるか決めてるの?』
[信介]『今週末だ。急な連絡だから行けない人は来なくていいからな!』
[遥] 『私はOK』
[舞] 『私も行けます!』
[雪乃]『大丈夫です!』
[飛鳥]『行きます!』
みんな行くのか、、、
[翔真]『行きます。』
俺は同調圧力に屈した。
そして、合宿の日になった。
「あの、須崎先輩?」
「ん?どうした。」
「どうして…海なんですか?」
「せっかく江ノ島に来たから?」
(「理由になってねぇ!」)
しかし、ゲームでも夏休みは何かしらかのイベントが起こるものだ……。まさか、こんなイベントが俺に訪れるなんて夢にも思わなかったことだ。
「まぁせっかくだから楽しんで行ってくれよ」
「ありがとうございます部長!」
「しょーくん!どう思う?この水着!」
まさか、見せつけてくるやつがいるとは…
「あ、あぁ、いいんじゃない?」
「しょーくん、ちゃんと見てないじゃん」
当たり前だろ、と言いたい。
「まーいー、猫田くんがかわいそうでしょ?」
「猫田はこういうの慣れてないっぽいからやめたげよ」
「信介!私の水着姿どう思う!?」
「んー、いいんじゃねぇか?かわいいと思うぜ。」
「猫田くん気づいた?あの2人ね、例の件のあとから付き合いだしたらしいよ。」
「まじで?」
あの2人の幸せがいつまでも続いていくと嬉しい限りだ。
「あ、部長って体調とか大丈夫なんですか?」
「あぁ大丈夫だ!というかな、お前たちが来た日が退院の日で準備中だったんだよ!お前たちのせいで遅くなったんだ、、、てのは冗談だけどな。まぁほぼ再発する心配はなくなったから復帰できたってわけだ。」
「先輩!質問です!」
「工藤ちゃんどうした?」
「江ノ島とゲームって関係あるんですか!」
それは俺も聞こうと思っていたことだ。ナイスだ工藤よ。
「いや、ただゲーム研究部の部誌を作るために来たんだ。」
「そんなの地元でもできたんじゃないんですか?」
「わかってないねぇ、猫田くんは」
柏木先輩が言う。
「何がですか?」
「我々は海なし県の民だろ。だから、我々は!海に憧れるのだ!」
横で工藤や東雲は拍手をしている。
「な、なるほど?」
これも理由になってない気がする。
工藤と東雲は海へと飛び込んでいった。
「千早さんは行かないの?」
千早は焼きそばを取り出して……ん?今どこから取り出した!?全くわからない。
千早が食べながら何か言う。
「食べてから喋ろうね?千早さん食べるの好きなの?」
「うん、そうだよ!」
千早雪乃という人間はどれだけ属性を持つのだろうか。
「猫田ー!こっちおいでよー!」
工藤から呼ばれる。
「猫田くん、行きなよ。」
「千早さんも食べ終わったら来なよー!」
俺たちは夕方になるまで遊んだ。
BBQとはまさに戦いだ。
「しょーくん食べないの?」
「食べるぞ?」
そう食べたい。ただ、工藤に千早、東雲がすごい勢いで肉や野菜を吸い込んでいくのだ。なんなら、まだ生焼けではないかと思っていたやつすら吸い込んでいく。
「花火やるぞー!」
部長がそう呼びかける。すると、柏木先輩と東雲はすぐに食いついていった。
「猫田食べてないでしょ?あげるよ。」
「工藤さん、ありがとう。」
BBQを始めてから約1時間ほど経って、やっと食べられた。
俺と工藤、千早はしばらく3人でBBQをしていた。
「一旦、休憩としてマシュマロ焼きます!」
「BBQといったらマシュマロだよね!」
「やっぱり飛鳥はわかってくれるかぁ」
マシュマロが焼き終わった、これでBBQは終わりだろう。
「じゃあ、私は花火行ってくるね!」
工藤は先輩たちの方へと走った。
「じゃあ、千早さん。俺たちで片付ける?」
「待って。まだ〆を食べてない。」
「〆?マシュマロ食べたじゃん。」
すると、千早は焼きおにぎりを出した。
「うちの〆はいつもこれなんだよねぇ」
千早家の食事事情は謎だ。
俺たちはコテージのようなものに泊まっている。それぞれ部屋が分かれているのですごくありがたい。それにしても、今日は色々なことがありすぎた。明日の午後は自由行動らしいのでどこに行くか悩ましい。
夜中、俺はトイレに行きたくなった。一度リビングに向かう。
「ん?猫田じゃん」
「工藤さん?」
工藤さんはメガネをかけていて、普段と雰囲気が異なっていた。
「猫田でいいからさ、ちょっと話さない?実は外泊苦手でさ。」
「いいけど、、、トイレ行ってからでもいいかな?」
俺はトイレを済ませて、リビングに戻る。工藤はソファーに座っている。
「工藤さん、お待たせ。」
「ん。」
工藤はまぁ座れと言わんばかりにソファーの横を叩く。俺は工藤の横にだいぶ間を空けて座る。
「何、猫田照れてるの?」
「そ、そんなことないから!」
俺と工藤はしばしの間、他愛のない話をした。
「工藤さんってさ、俺のこと嫌いじゃないの?」
「え?なんで?」
工藤は俺のことを見つめる。いつもなら、睨まれているはずだ。
「だって、いつも睨まれてる気がしてさ。」
「ほんと!?」
「うん。メガネかけてるってことはさ、普段はコンタクト入れてるんでしょ?」
「実は……コンタクト入れるの怖くてさ。入れてないんだよね。」
工藤は頬を掻きながら話す。
「え?じゃあメガネかければ?」
「メガネの私はかわいくないって言われたんだよ、昔の友だちにね。」
「な、なるほど。」
「ごめん、猫田!睨んでるつもりはなかったんだ!」
なるほど、工藤は目が悪いから俺のことを睨んでるように見えてただけということか。
「そういうことだったんだ。」
「うん、そういうこと…。てか、私たち友だちでしょ?」
「……え?俺と工藤さんって友だちだったの?」
すると、工藤が爆笑する。
「何言ってんの私たちもう友だちでしょ?」
「いつのまに?」
「うん、同じ部活に入った時点で友だちみたいなものでしょ?」
「そんなものなのか…」
友だちが増えた。それは嫌われていると思い込んでいた人だった…それは今までの関係とは違う、また新しい関係なのかもしれない。
「ところで猫田は明日どこ行くか決めた?」
「いや、まだ全然。」
「私は、雪乃と舞と一緒に江ノ島観光するんだけどさ……一緒に来る?」
「…行ってもいいの?」
「うん、全然いいよ!多分、2人もいいって言ってくれると思うし!」
俺の夏合宿はまだまだ終わらない。
【あとがき】
合宿の場所である江ノ島はみなさんご存知だろう、神奈川県の江ノ島です!
江ノ島は個人的に好きな場所なので、合宿の場所とさせてたいただきました!
次回も江ノ島での話が続くと思います。
あぁ、江ノ島行きたくなってきたなぁ……




