表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルフの姫  作者: 弓チョコ
第12章:託される愛と使命
299/300

第299話 断るA級からのアドバイス

「おーい、エルルさん」


 席に戻る途中、ニンゲンの男性から声が掛かった。


 新生ヒューザーズ、現リーダーのヒートだ。赤髪が特徴的。

 ヒューザーズはあとドワーフ男性とニンゲンの女性だったけれど、見るとメンバーが増えていた。

 エルフ男性だ。


「ヒューザーズの皆、久し振りね」

「おうよ。こっち座りなよ」

「エルねえちゃーん」


 キノはドワーフの彼におんぶされて遊んでいた。異種族に対してここまで人懐こいのは才能だ。私も結構救われている。


「キノとは初めてじゃないのね」

「まあな。俺達、エデンに帰ってきたら割とトヒアの家に寄ってんだ。その後墓参り」

「……そう。メンバー増えてるわね? 彼は?」

「ああ。エルフのルエーズ。ミーグ大陸出身の『海岸のエルフ』だ」

「ミーグ大陸の」


 ルエーズは私に対して、ペコリを頭を下げた。日に焼けた肌に、チリチリの黒髪。


「お初に。エルル姫様。この度は誠におめでとうございます」

「ええ。ありがとう」

「んでよ、エルルさん。俺達からの話は、レナリア大陸へのルートのことだ」

「!」


 座る。

 これは聞いておかないといけない。


「俺達はいつも、大運河を避けて、魔海から入ってた。エーデルワイス独自のルートでな。だが、海竜の棲息域が拡大してたんだ。ヒューイはそれに巻き込まれた形になる」

「……では、海上で海竜に殺されたと?」

「いや、海竜程度じゃヒューイは死なねえ。海竜の棲息域が拡大した事で、別の何かを呼んじまったんだ」

「何か?」

「ああ。ヒューイはソイツに殺されたと考えてる。情けねえ話、俺達はヒューイのお陰で逃げ出せたんだ」


 そうか。

 魔界の任務は、ルフを抜いたヒューザーズで行っていた。けれど、亡くなったのはヒューイだけ。

 そして現場に居た彼らも、ヒューイの最期は分からない。状況的に、まず助からないと、経験豊富なA級冒険者の彼らが判断したんだ。


「…………私達が辿るルートでもあるのね」

「そこは、分からねえ。今回使節団が帰ってきたってことは、別ルートを使ったと思うしな。女王様の判断になるだろ」


 ミーグ大陸を越えた先、レナリア大陸までの航路のどこかに。

 何かが居る。


「だが、何せ魔界はニンゲン界とは違う。環境も敵生物も、何もかもな。敵性魔族もやべえ」

「……ありがとう。気を付けるわ」

「ああ。まあ、同じA級にこんな上からのアドバイス、本来は無礼に当たるんだがな」

「同じA級と言っても、経験が全く違うわ。私達は初めての魔界だし。寧ろもっとアドバイスが欲しいくらいよ」

「良いのか? 話しすぎると自分達の冒険の『発見』という楽しみを俺達が奪っちまう」

「あっ。確かにそうね。ではもう止めてね」

「はははっ! 良いな。エルルさんも、どうしようもねえ程『冒険者』だな。じゃあ、アドバイスはやめとこう」


 恐らくルフは、ヒューイの消息を追いたいだろう。私もそれに付き合うつもりで居る。

 トヒアの言う通り、リベンジだ。


 私は私の(人生)の中で、やりたいことを全てやる。


「キノは冒険者にならねえのか?」

「うん。わたしねえ、キャスタリアの学校に通いたいの。植物のお医者さんになりたいの!」

「ほう! 良いじゃねえか! 応援するぜ! 行く時は言えよ。俺達が安全に送り届けてやるから」

「えへへー! やったあ! それも冒険だよね!」


 ヒート達にとっては、ジンやキノは甥や姪のようなものなのだろう。微笑ましい光景だ。


 今はよく、こういう光景を目に焼き付けておこうと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ