表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルフの姫  作者: 弓チョコ
第10章:克服する心と身体
243/300

第243話 銀より鋭く似ている関係

「…………ふゎ」


 朝。

 まだ少し肌寒い。一度暖まっているルフをぎゅっと抱き締めてから、意を決して起き上がる。


「んん……。さて今日は、ペルソナの話を聞きたいわね」

「…………ん……。エルル」

「朝よルフ。おはよう」

「…………おはようございます……」


 だけど、ルフにはルフが居ない。既に私は起き上がっている。ではルフは誰をぎゅっと抱き締めてから起き上がれば良いのか。


 しっかり者の彼女は、そんなこと必要なく起き上がれるのだ。


「今日は早くから仕事がありますので」

「ええ。行ってらっしゃい」


 町の仕事は、ふたりでそれぞれ手分けしている。主に魔法を使った力仕事が多い。私は風で。ルフは魔力強化で。それぞれの修行にもなっている。






◆◆◆






 ルフを見送って、居間へ向かう。朝食だ。レインの用意する和食、どうにかこれからの冒険中にも食べられないだろうか。


「エル姉ちゃんおはよう。ルフ姉ちゃんは?」

「ルフは早くから仕事みたいなのよ。帰って来るのは夜ね」

「そうなんだ」


 寝癖のままのジン。


「…………んぐ……」

「カナちゃん。顔くらい洗ってきいや」


 寝癖のままのカナカナ。寝巻きがはだけていたり。

 似た者師弟。


「おはようレイン! 結婚してくれ!」

「いやどす。あ、危ないから床転げたらあかんで」

「あああ……っ! えっ。あ、はい」


 そして朝から元気爆発のペルソナ。

 5人で食卓を囲む。


「ペルソナもレインと修行を?」

「そやね〜。カナちゃんとニンゲン界(こっち)来たんが大体25年前。ペル君はこっちで産まれたんよ。ほやから、赤ちゃん時から知っとるんよ〜」

「産まれた時に一目惚れしたんだ! レイン!」

「いやどす」

「あああっ!」

「ペルソナさん落ち着いて……」


 ペルソナはウリスマで産まれたのか。つまり、ニンゲン界の出身ということ。


「……父親は? これ、訊いても良いの?」

「んぁ……。いや、普通にアルニア(この国)の男だ。今は首都で働いてる。単身赴任って奴だな。ちゃんと顔出したか? ペルソナ」

「勿論! 父にはめちゃくちゃ嫌がられたけどな!」

「だろうな。声がうるせえ」


 カナカナには夫が居る……って、そりゃそうか。


「ま、あたしだけ先に結婚しちまってレインには悪いと思ってるがな」

「別になんとも思わんよ〜。カナちゃん死んでからゆっくり魔界帰って婚活するつもりやし〜」

「百年後だな」

「そやね〜」

「レイン! 今すぐ俺と結婚してくれ!」

「いやどす」

「あああああっ!」


 私は、ジンと目を見合わせた。

 ヒューイとトヒアと、ルフに似ているかもしれないと。


「ペルソナさん。俺のパーティメンバーのルフ姉ちゃんなんだけど、俺の父親の元パーティメンバーでもあってさ」

「あああ――ん?」

「つまり、俺も、産まれた時からルフ姉ちゃんに一目惚れしてたんだ」

「ほう! 良いよな! やはり妻にするならエルフだ! そうだろ!」

「……いや。エルフかどうかとか、種族はあんま関係ないんだけど。なんだかペルソナさんとレインの関係が、俺とルフ姉ちゃんに似てるなって」

「はっ! そういうことか! よし分かった! 決闘だ! ジン! 食ったら道場に来い!」

「えっ?」


 ペルソナの銀色の目が、カッと開いた。すぐさま立ち上がり、退室していった。


「…………『ごちそうさま』もしてへんし、食器も下げよらん。これは、お仕置きが必要やなあ〜」

「…………!」


 レインは、たまに怖い。その普段細い目が、少し開いて光った気がした。ペルソナの銀眼よりも鋭く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ