◆はじまりの章
コックリさんを禁じられた人は沢山いても、かごめかごめ、花いちもんめ、鬼ごっこを禁じられた人は殆どいないだろう。遊びを禁じ続ける少女の過去に一体何が……?
その遊びの本当の意味を知らないのなら、今すぐ禁じた方がいい。
私たちが子供の頃遊んだそれらの遊びに隠された真実とは?
神隠し?鬼のいたずら?祟り?それとも……。
何故少女は、遊びを禁じ続けるのだろうか?
入り組んだ細い道を何度も何度も曲がると、行き止まりの道に行き着く。
道の先には塀があり、チョークで落書きがされている。
その塀の前は近所の子供達のたまり場になっていて、子供達は遊びながら、無邪気に笑う。楽しそうにはしゃぐ。
その遊びに、一体どんな意味が秘められているのか知ることもなく。
するとある一軒の古い家から、一人の少女が飛び出して来て、
「こら、何やってんのよあんた達ー!!何度も何度も言わせるんじゃないわよ、それで遊んじゃダメだって言ってるでしょ!?」
と、大声でまくし立てる。
子供達はそんなことにはもう慣れっこで、きゃあきゃあ言いながら一斉に逃げていく。ほとんど毎日、その繰り返しだ。
実はその家というのは小さな店で、少女は店主だったりする。
しかもそこは、“少し変わった依頼”も受けてくれるという。
何故少女がそんなところでたった一人で店をやっているのか、何故遊びを禁じているのか、その理由を誰も知らない。
そして今日もまた、少女のもとに訳ありの客がやってくる……。
【注】あの人気ホラー小説『禁じられた遊び』が復活!こちらは過去に『Gocco』等で連載していた2007年ごろの作品をリメイクしたものです。「Gocco」では、1年以上にわたり総合・ジャンル別ともに人気ランキング1位を独占。物語後半の原稿データを紛失したため、昔のオリジナルとは展開が大きく異なります。令和に新たによみがえった「三岸アオサ」の物語をお楽しみください!
●作者について……まだ高校生だった2007年に、学生向けの文学賞『Gocco文学賞~恋愛部門~「あしたの私のつくり方」賞』次席に選ばれる。それ以降は同人乙女ゲーム制作、音声ドラマ作品の脚本などを手掛ける。女性向けゲーム情報誌『Sweet Princess』『Cool-B』などに掲載経験あり。