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ミーナ・ファロン物語  作者: オサ
5歳頃の話
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13 フェレール国へ

13 フェレール国へ


 初めてイシュア国を出たのは、5歳になる年ね。ギルバードお爺様がフェレール国でしばらく暮らすというから、一緒に連れて行ってもらったの。

 公爵をアラン叔父様に任せて、戦いの後、自由に行動していたのだけど、フェレール国でセーラ叔母様と一緒に暮らすというのは、お爺様にとって大切な約束事だったみたい。多分、初代ミーナ様の代わりであるセーラ叔母様と一緒に暮らすというのが、エリスお婆様との約束を守る事になっていたみたい。


 もちろん、私はお爺様と仲が良かったわ。ミーナという名前を受け継いでいるしね。だからかもしれないけど、私に対しては、ミーナ様の話は一切してくれなかったわ。孫娘を気遣っての事だと思うわ。


 え、ギルバードお爺様の素敵なところ?

 そんなの全部に決まっているでしょ。容姿も最高だし、強さも最高よ。公爵家の歴史をその身に刻み込んだ人生を歩んだのよ。何もかも素敵に決まっているでしょ。本当に素敵だったわ。私の婚約者候補の一番手だったわ。

 冗談ではないわ。あの時の私は、親と兄弟とは結婚できないとは聞いていたけど、祖父と結婚してはいけないとは聞いてなかったもの。それに、エリスお婆様もミーナお婆様も亡くなられていて、お爺様は寂しいだろうなって、本気で思っていたし。

 ミーナ様の名前を授かったのは、私が第3夫人になるためだって、本気で考えていたのよね。まあ、第3夫人の意味が単なる順番だと思っていて、深い所までは理解していなかったわよ。

 ただ、お爺様を困らせるような事はしなかったわ。ちょうどこの頃に、私も自分の思い通りにならない事が、この世界にはたくさんある事を知ったのよ。結局、第3夫人の意味はすぐに理解して、なれない事も知ったわ。


 私が素敵だなって思う人は、全員が既婚者だったのよ。今考えれば、素敵な男性が結婚している可能性が高いというのが当然のことだけれども、5歳児に結婚の事を深く理解するのは難しかったのよ。好きの度合いの頂点が結婚だと考えていて、結婚と言うのが誓約でもある事は未だ理解していなかったのよ。

 ただ、この時期にしっかりと学んだことがあるわ。恋愛は自由だけど、結婚は早い者勝ちであること、この時期に痛いほど学んだわ。だからと言って、私の結婚は違うけど・・・。ん、違わないか。結果としては、この時の反省を活かしたの事になるのね。


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