恨み骨髄
骨となり、どれほどの時間がたっただろう。
安らかに眠ることもできず、さりとて身体は動かない。長い年月をかけて、黒く静かな恩寵が馴染んだことでようやく、我が骨を支配することができる。
指を曲げるとカロン、カロンと硬い音が響た。動くたびにカタカタと身体が軋む。
自らを上から吊り上げる。なるほど、こうやって『立ち上がる』のか。
道理で、足に力を込めるとすっ転び、逆立ちするわけだ。
情念に心を燃やして頭を、首を、肩を、背骨を、腰を、骨盤を吊り上げる。
されど、消して浮き上がることはない。他に足は縫い付けられており、違っていけば、奈落へと続いている。
生きている時となにも変わることはない。地母神による回帰が、我が身を掴んで離さない。他でもなく、これは与えられている愛だ。
拒んでいるのは私である。そのことに罪悪感を感じている。見放されてしまえば、私は二度とは帰れなくなる。
故にこそ、安心するのだ。彼女は私を見てくれている。一人ではないのだから心強くあれる。
腰に差した愛刀こそ喪失していたものの、私には、胸を貫く一振りの剣が共にあった。
死を決定する棒切れには業腹だが、我が身を持ってしてその切れ味は証明されている。
胸より抜き出し、天へと掲げる。
「うむ!」
やはり、剣とは格好があってこそだ。
怨敵を殺す。人でもなければ、国でもない。我が恨みを晴らすことこそ本懐なり。
さあ誰ぞ、私と切り結ぶものはおらぬものかな。




