青、流れる
プリントが入った封筒を手に歩く。なんとなく鞄には入れ辛い。自分のならともかく。
先生に頼まれて、家が近いからという理由で封筒を届けに行く。
なんで自分が、というのは正直なところだけど、わざわざやらないという理由にもならない。
家の前に着いた。インターホンを押す。
電子音が鳴り響く。しばらくして。
『どちら様?』
無遠慮な、しかし当然の警戒が声から伝わった。
「同じクラスで、先生からプリントを届けるように頼まれた」
質問には答えていない。用件だけを伝えて、ポストにでも突っ込んで帰ろうという魂胆もあれば、普通に緊張で言葉が早ってしまったともいう。
感じは間違いなく悪い。
まぁ、仲良くなろうとも思っていないけど。
しかし、それだけで十分だったようだ。
『今開けます』
という言葉の後に、鍵を開けて迎えられた。
「こんにちは……青いな」
「えっ」
「あっ」
髪の毛が。いや失言から自分の顔色が。
「い、いいよね。鮮やかで」
……あー、引きこもりの人か。どおりで聞いたことない名前だと思った。
クラスメイトに興味がない、以前の問題だった。これは学校に来れないだろうな。
取ってつけたような言い訳だが、特に気にした様子もない、のだろうか。
無反応だった。
超きにしてるやん。
「ま、まあね」
うーーーーーーん、気まずいよぉ〜。
数秒前の自分を殴りたい。消えてなくなりたいよぉ……。
「うん、あっ、校則、とか」
「だ、だめだよね……」
だめなのは自分なんだよねぇ!!!
デリカシーって一朝一夕で身につくものじゃないんだなぁ!!!
「じゃあ、はい、プリント」
「え、あ、はい」
ミッションコンプリート。自分は振り返らない。
手を振って、後退り別れる。
明日は学校、来ませんよね。宇宙人やん。言語が違うわ〜。うそです。ごめんなさい。
とりあえず、優しくは出来るかもしれない。むしろ自分が優しくしてほしいまである。
引きこもりたいよ〜。連鎖式でいかがだろうか。




