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畳
間の抜けた水っぽい空気音というべきか。
狭い室内にひびきわたり、なんともいえない沈黙が3人を襲う。
「お前……」
2人の視線が1人を貫く。
なんというか、不浄な空気のゆらめきを発生させていた。
じっとりと、なにかを言いたげな視線を受けて、慌てて否定する。
「いやちがうちがう! たたみよ!」
そうして床を指差しながら片足に向けて体重をかけた。
なりひびく、先ほどと同じ不快な音。
即興でやれているあたり、事実とは異なったことに安心する。
「いやお前、完全にそれやと思ってたやろ。身が出てる音やん」
「ふふ、へははっ」
「すまん、正直おもってた」
安心感もあって、妙な笑いが生まれた。
ここまで濁してきた言葉を、少し具体的に表現されたのもなんかダメだった。
「あほらしい」
そう言いながら、洗面台に移動する1人を避けようとして、同じく畳を踏み締める。
ぷす〜。
「おいおい、また踏んだか?」
「はは、おならだ」
「最っっっ悪や!! こいつぅ!!」