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始まり

00

ごそごそと茂みを掻き分けて走る。


匂いがするのはこっちの方からだ。


焦りを感じながらできるだけ早くその目的地に向かう。


この匂いは嫌な匂いだ。


血の匂い。


そこら辺にいる獣の匂いならまだいい。


だがこの匂いは、人間の匂いだ。


濃くなっていく血の匂いを掻き分けながら進むと小さな原っぱに出る。


そこは、戦闘の痕跡があった。


この辺じゃ見たことのない獣の死骸と、腹から血を流している少女がいた。


手には剣を持っており獣は、この少女に殺されたのだと推測できる。


少女はか細い息立てながら眉間に皺を寄せながら気絶している。


「柄じゃないんだけどな」


そう小声でつぶやいて僕は少女を背負い急いで家に戻ることにした。



1

目が覚める。


ぼやけた視界のまま体を起こそうとする。


ズキリ


横腹あたりに急に激痛が走る。


「うっ!」


無意識に横腹を抑えて、体を丸めて痛みを和らげようとする。


なぜこうなったのだろう?


まだ鈍る思考を出来る限り動かして思い出そうとする。


そうだ、見知らぬ『クリリウム』に襲われたのだ。


なんとか持ち前の剣で対処はできたが、最後の油断で腹に大きな爪が突き刺さったのだ。


そして気づく、ここが見知らぬ場所だということに。


思考がはっきりしてなくて気づかなかった。


辺りを見渡すと、木造の家で窓からのどかな自然が風に揺られている。


私が寝ているのは普通のベットだ。


テーブルとその近くに椅子。


それ以外はめぼしいものは無い。


質素な部屋だ。


まだあの原っぱがある山の中ではあるのだろうか?


ボケっと考え事をしていると、


「剣がない!」


一番重大なことに気づく大事な大事な剣が無いのだ。


命よりも大事な剣。あの人から貰った大事な大事な。


思考が定まらなくなってくる。


パニックになってる。


落ち着かなければ。


でも、そう考えれば考えるほど、変な汗が出てきて余計に思考が鈍る。


呼吸が浅くなって来て息ができなくなる。


やばい。


「やあ、目覚めたのかい?」


突然声がかけられてハッと現実に引き戻される。


声をした方に目を向けると。


一人?の子供が立っていた。


薄ピンクの髪ぼさついたショートぐらいの髪の毛。


綺麗な青い目。


身長は私と比べると少し低めだろうか?


見た目は、少年?中性的な見た目でよくわからない。


服は、農夫の様な格好といえばいいのか?


そして特徴的なのは、毛むくじゃらの耳が生えているのだ。


不思議な子だと思った。


そして背中に背負っているのは剣だ。


剣、なんだか見覚えのある、剣。


私の剣だ!


バッと、無意識に体が動く


ドタドタ足をバタつかせ、痛みなんか忘れて急いで子供に駆け寄り子供の驚いた顔を見向きもせずドンと押し倒す。


「その剣、私に返しなさい!」


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