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僕の物語  作者: ままごと
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僕の夢

 夢を観た。昔の自分がそこにいた。


「親が死んでかわいそうな雅人君。」

「こいつ、この前放課後ひとりで泣いてたんだぜマジ暗いよな。」

「皆の同情引いてんじゃねぇよ。」

「本当は誰もお前に関わりたくねぇんだよ。孤児。」

「何あれ?またやってるのぉ?」

「よしなよ。関わんない方がいいよ。あんたも苛められちゃうよ。」

「あいつが、いるせいでクラスの雰囲気悪くなるよな。」

「こなきゃいいのに。」

「てか、死ねばみたいな。」


教室の扉が開く音がした。


「どいつだよ。調子こいてるってやつ。」

「あっ!先輩達。こいつっすよ。マジ、ボコボコにしちゃってくださいよ。」

「ふーん。確かに生意気そうだな。おい、こっち向けよ。話しかけてんだからさぁ。」

「……」

「だっさ。お前シカトされてんじゃん。」

「うるせえ!あんま調子こいてんじゃねえぞ。一年坊が!」



何かの音がした。鈴の音?


ひどく寝心地が悪い。固いし、寒い?

床に落ちたかな?

まぁなんとなく悪い夢も見たしな。


「bvblvyvぇr!」


声がきこえる。誰だ?

「kjhgfddfg」


起こされてるのか?薄く眼を開く、視界がぼやけている。顔に掌の感触。腕枕?

抱き起こされているのか?


叔父さんじゃない。


「jkhbg!hh!hh!jhgvhvghyg?」


女の人?

なんで、ここ自分の部屋だろ。


寒い。


いや、寒すぎる。


違う。


ここは部屋じゃない!


とっさに身を起し、逃げるように相手と距離をとった。


なんだここ。薄暗い。

寝惚けてたんじゃなくて単に暗かったのか。


トンネル…


というより洞窟という感じか。


等間隔に松明のようなものが、置かれているだけで明かりらしい物は、他にない。


「kjhgfdrfygb」


女の人が近づいてくる。何て言ったんだ?


外人?


でも、英語じゃなかった。

聞いたことのない雰囲気。

西欧でもない。ロシア語とも違う。

東南アジア系か?


もしかして、拉致られた?


そんなこんな考えているうちに、明りに照らされて、姿がはっきり見えてきた。

 

不思議な感覚だった。


言葉だけじゃなかった。

見たこともないような鮮やかな色をした金髪。

暗い中でも、はっきりとわかる青い瞳。体格もどちらかといえば、白人よりかな。


でも、着ている物が…なんというか、その、うまく言えないけど、巫女装束の下がないバージョン。

昔の海女さんが着てたようなやつ。

神聖な感じがあるのに、妙に色っぽい。すごい、胸元が開いている。


あぁ、さっきまで、この人に抱き起こされてたんだ。

もっとああしていればよっかた。

あわよくば、寝惚けたふりして、その胸に…


「lmんbvcxz!」


女の人が腕を胸の前で交差させて何か言った。


今絶対「どこ見てんのよ!」って言われた。


いや、わかんないけど。


冷静になって、顔を見てみると、まだほんの少し幼さが残る感じだ。同い年くらいか?

豊満な体と色っぽい衣装のせいで、少し年上に見えたのか。


「qwrydszg」


相変わらず何言ってるのわからない。

なんとか、ジェスチャーで伝えてみようとした。

女の子の青い瞳が、驚きと好奇心で光った気がした。両手を前に出して少しずつ、下がる。


たぶん、ちょっと待って、と言っているのだろう。

うん。ボディランゲージこそ全世界共通語だな。

なんて思っていると女の子がなにやら、ひとりで喋り出した。


呪文?まさかね。


「klhytdszxcvtwqplmkjんbhghj……」


あぁ、やっぱり何言ってるのか、わからない…なんて言っているうちに、女の子が、光り出した。


え?


いや、光ってる。


うそ?うわぁすごい光ってる。

この洞窟、こんなに岩肌ごつごつしてたんだ。

そんなこんな言ってる間に、胸のあたりが特に光を集めて球になっている。


あぁそんなに、光ったら逆に見えないです。


と集めた光をそっと宙に浮かべえると、光の球が自分に向かってきた。


そして、体に吸い込まれていく。不思議と恐怖はなかった。

光に包まれ一瞬頭がボーとした。が、光はすぐに消え、女の子も、もう光ってはいなかった。


「ねぇ、あたしの言ってることわかる?」


え?


「あれ?失敗したのかな。あたしの言ってることわかんない?」


いや、あなたの言っていることはわかるんですけど、今自分に何が起きているのかがわかりません。


「ねぇ、なんか答えてよ。もう、聞いてるの?ねぇってば!」


あぁ。これも夢か。

悪い夢から、色っぽいねぇちゃんの出てくる素敵な夢に変わっただけだ。

きっともう一度目が覚めたら、暖かいベッドの中だ。


そう思い、石畳の上に寝転がる。


夢だとしてもかなり、冷たく感じるなぁ。


「ちょっと!寝ちゃダメだって!死んじゃうよ。起きて。起きろ!」


左の頬、そして右の頬と順に鋭い痛みが走る。


おねぇさん右利きなんですね。


そうじゃなくて。痛かった。すごく痛かったです。


驚いて、目を見開いた。


……………


いや、あの、おねぇさん。顔近いです。

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