朝曇り
冬の静かな曇りの朝は
遠くで鳥の鳴く声が聞こえて
道の先を走る自動車の小さな音が
一日の始まりを急かすようで
わたしはバス停へ向かい足を早める
通り道の山茶花をふと見れば
雲間から今日の日が差して
世界は柔らかく開いてゆく
明るいほうへ、明るいほうへ
乗り込んだバスの車内は暖かく
乗客はみな静かにうつむいて
けれど
みな一途に、ひたむきに
未来のほうへ、明るいほうへ
バスは進む
前へ前へと
未来へ向かって
わたし達はみな一緒に進んでいるのだ
豊かな未来へと
誰も何も話さず
ただうつむいて
今この時をじっと耐えて
バスの中の暖かさを頼りに
日差しが、バスの前に明るく輝く
通りのずっと向こうまで
わたし達を乗せたバスは、
光の中を
明るいほうへ、未来のほうへ