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異端兄妹は日常に戻りたい  作者: 幽猫
third chapter 運命の歯車

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105/118

105章 電熱融解



 無茶だといわれたのが気に入らなかったようで、繭愛は少しだけ、いじけたのか小さな頃のように梶樹の背をぽんぽん叩いた。


 「無茶なのは、おにぃでしょっ!わたしがどれだけ……」


 「う……わ、悪かったって。反省してるから」


 それを言われると耳が痛い。実際のところ、このゲームに入ってから繭愛が知らないのをいいことにかなりの危ない橋を渡っているのだから。


 「……本当に大丈夫?もしかしたら、もしかするかもしれないんだよ」


 「分かってるって。下手したら俺から先に死んじまうんだ。その分、繭に負担かけることになるしな」


 普段通り、笑って流す梶樹。


 とはいったもののこの、「もしかするかも」は正直いってかなりグレーな線を割っている。このあと起きる現象に順応できるかどうかは分からない。


 ただひとつ分かっていることは、順応できなければ死ぬということだけ。それも、ほぼ確実にだ。


 「ほんとに、信じるからね。おにぃ……」


 意を決したか、繭愛は静かに目を瞑る。その瞬間、繭愛の周囲に佇む白い雷の蛇達が再び、首部をあげた。


 弾ける。弾ける。弾けるーーー。


 うねり、うねって光が瞬き、スパークする。まるで、もうひとつの太陽が昇ったかのような白い光。蛇は軌道となり、とぐろを巻き、やがて膨大な熱を生み出していくーーー!


 「あ、っ……つ!なんだ、これ……」


 ぷつ、ぷつ、と潰すような音が微かに聞こえる。光量が多くて定かではないが、ハジメだけにはそれがなんの音なのかがはっきり分かった。


 糸が()()()()()()()。沸騰を遥かに超えた熱量により、鉄よりも強靭なはずの糸が融解しはじめた。その証拠に、さっきまで確かにあった糸の感覚が矢継ぎ早に消えていく。


 (馬鹿かっ!?合金を溶かすとか……お前らが先に死ぬはずだろっ!)


 熱は大気を温め、周囲に循環していく。その発生源からゆっくりと全体に渡る。金属が溶けるということは、人間の身体など焼けるどころでは済まない。熱だけで焼死体コースである。


 そんなこと、ハジメでなくともすぐに理解できていたはずだろう。溶岩に人が落ちたらどうなるか、溶鉱炉に手を突っ込めばどうなるか、なんて想像すらしないだろう。


 「……は…………!?」

 

 しかし。


 ()()()()の力を考えるのならば話は別。最初から制御できなければ、こんなことはしない。


 「いったろ……お前の糸は破ってるって」


 溢れる熱気の中で、梶樹は口角を吊り上げた。




 右手にはめた黒いリングーーー。そう、サイドウェポン「ヨハネス・ホッパー」。サイドウェポンというのは最初から名前通りの武器なのだと思っていたが、実際のところはそうではなかったようだ。


 ()()()()()()()()()()()()。梶樹はそう考えるに至った。まだ不明な点が多いが、ひとつだけさっきの攻防で得た見当は、この指輪は梶樹の演算処理をアシストする装置、いわば超小型演算装置ということ。


 繭愛の電撃を回避できたのはこれが要因だった。そもそも梶樹が計算できない速度での計算は不可能。これはその弱点を丸々カバーしてくれている。


 人間では難しい計算も即座にやってのける自動アシスト。


 梶樹が丸焦げにならずに済んでいるのは、熱の向きを変化させて流しているからである。ただ、熱限定とはいえ不特定多数の方向からの力の変換。普通にしたらどこか一方向でも抜け落ちてしまう。


 「なんで、なんで生きてんだよ!お前、本当に人間なのか……!?」


 「お前(人間のクズ)にいわれる筋合いはないぞ、さぁ、どうする?そこで大人しく焼け死ぬのか?それとも……」


 「〜!こ、このっ……!!」


 これには堪らず、ハジメは糸との繋がりを絶って地下ホームから逃げ出した。


 「逃すわけ……」


 しかし、硬質化を解いてしまったハジメには、もう為す術は潰えていた。


 「ないだろうがっ!」


 行く先に瞬間移動した梶樹の拳が横っ腹に突き刺さる。階段すぐ脇の壁に、ハジメはまたしても激突した。


 

 


 

 

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