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よくわかる! ラマーズ法で小説執筆

 作家とは大変な仕事である。

 面白い物語を読者に提供する、はたから見れば夢の販売人みたいでなんともファンシーなことだろう。

 でもその裏にはとてつもない戦いがあるのだ。

 てなわけで、今日は新進気鋭の作家先生の出産現場にお邪魔してみましょう。


 「ああああああああああああああああああ!!! うまれるううううううううううう!!」


 ほら、今日も聞こえてきましたね急患です小説家です。

 今回苦しんでいるのは締切にげる先生。三十一歳男性、独身にして童貞。お腹の中にアイデアが入っています。


 「大丈夫ですよ先生! おーきく息をすってー、はいていきんで! おーきく息をすってー、はいていきんで!」

 

 「それっぽいこといってるだけだろぉぉぉおああああああいてええええええ!!!」


 担当作家の陣痛に対応できるよう、全ての編集者には産婦人科の資格取得が義務付けられています。孤独に作品を産む先生の傍らでも慌てず騒がず、適切に作業を進める編集者。さすがです。


 「大丈夫大丈夫! 元気な作品出てきてますよ先生! ほらもう頭見えてる! かーわいいなあファンたちが喜ぶだろうなあ!」

 

 「ほんとう?????? だいじょうぶ?????? みんなたたいたりしない?????? つまんなすぎて大炎上して『締切にげるの最新作燃やしてみたwww』のGIFがネットミームになったりしない??????」

 

 「しないしないしない! みんな待ち望んでますもの! あなたの世界観で救われてる命があるんですよ!」

 

 「ううううーーーーんがんばゆーーーーーーー!!!!」


 かなりの難産です。

 今回は先生の人気シリーズ「異世界TS転生したらハーレムゲー主人公勇者に惚れちまったのでハーレムメンバーと一緒にちょっくら世界救っちまいますか」の最新作。注目度も高いです。それだけプレッシャーもかかるというもの。


 「ラマーズ法ですよ先生! 全集中、出産の呼吸! ヒッ・ヒッ・フー! ヒッ・ヒッ・フー! ヒッ・ヒッ・ヒッ・ヒッ・ヒッ・ヒッ・フー!」

 

 「運動会やってんじゃねぇんだぞ」

 

 「いつもやばいくらいの妄想入ってる作品書いてるじゃないですか! 自分の性癖、もとい願望丸出しのやべーやつ! ファンじゃなければドン引きもののあれ! むしろファンでも幻滅ものの気がしないでもないけどまあいいや、あなたならできる!!」

 

 「そんなふうにおもわれてたんだ…」ションボリ


 「あっやっべ引っ込んだ! なんだこの子供掃除機のコードかなんかか!?」


 今更ながら子供どっから出てるんでしょう。

 熾烈な戦いは続きます。

 皆さんが普段何気なーく見かけたり、手に取ったり、立ち読みしようとして妙に露出度高い表紙だった時ちょうど女性店員が通りかかったり。そうして関わる全ての本には、このようなドラマの末に生まれたという揺るがぬ事実があるのです。やばいですね。


 「さあ見てください! 読者からのファンレターですよ! つってもT○itterのリプですけど」


 『先生いつも読んでます!』

 

 『先生頑張ってください!』

 

 『このキャラクター大好き♡』

 

 『業が深い(褒め言葉)』


 『何食ったらこんなんできるんだろう(褒め言葉)』


 『作者大丈夫か(褒め言葉)』


 『休めっ……! もういい、休めっ……!(心配言葉)』


 「み、みんな……! うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


 「す、すごい勢いだ……!! もうすぐ生まれそうだ!! 公式T○itterもこんぐらい伸びればいいんすけどね」


 「アッ」


 「わー逆子になった!!!!!!!!!!!」


 スゴイね人体。

 そしてついに……その時が来ました。


 「おめでとうございます……三百六十二ページ。元気な最新作ですよ」


 「やりましたね先生ェ……!! 僕もうだめかもって思っちゃいましたよ……」


 「て、おてて、にぎって……」


 完全に燃え尽きた締切にげる先生。しかしそのかいあって、無事元気な最新作がこの世に生まれることができました。

 小説執筆ってこんなに大変なんだ……そう思う必要は全くございません。なぜならフィクションですから。軽率に書いて軽率に発信してきましょう。ビーイージー。

 さあ、これを読んだあなた! 今度はあなたの番です!(予告犯) まだ見ぬ名作目指して、レッツ・執筆!

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