表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
午前3時のタイムループ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
9/17

9.

 ニーナは、困惑の表情で腕組みをした。


「それは、私を設計した人物に聞いてください。私は知りません。タカシが人間の脳を理解していないように、私も自分の頭脳を理解していないのです」


 そう言って自分のこめかみを右手の人差し指でトントンと叩くニーナを見て、『うまいこと逃げたな』とタカシは思った。彼女は、そんな彼の表情をジト目で見る。


「タカシは、まだ私を信じていませんね?」


 彼は肩をすくめて、首を左右に振った。


「悪いけど、信じられないね。……たぶん、そう言うのも100回目だと思うけど」


「はい。残念ながら正解です」


「……あっそ。一字一句同じことを言っているんだ」


「いえ。(さかのぼ)れば、100回目が99回目、98回目と変化していますが」


 タカシは「そりゃそうだな」とつぶやいた。


「まあ、人間ってのは、自分が理解できないことは、すぐには信じられないのさ。それは仕方ないことだよ」


「では、今から、私が全ての時間を記憶していることを証明して見せましょう。それには、未来に起こることを予知してみせます。時間がループしているのですから、正確には予知ではありませんが」


 ニーナの大胆な提案に、タカシは腕組みをして彼女の方へ体の正面を向け、笑みを浮かべた。


「いいよ。未来に起こることを示してみせて」


 彼女は、壁に掛けられた丸時計を見た。


「……今は2時45分ですね。直近の3つの出来事を言います」


「どうぞ」


「46分に、この上空にヘリコプターが通過します。48分に、守衛さんがそこのドアをマスターキーで開けて部屋の中を見ます。50分に、救急車が通過する音が聞こえてきます。これらの出来事が起こりますから、待っていてください」


「おいおい、僕は解体作業があるんだよ。仕事をさせてくれよ」


「じゃあ、待っている間に他のアンドロイドを解体してください」


「このやりとりも100回目?」


「はい」


 タカシは、プッと吹き出してしゃがみこみ、近くに転がっていた男のアンドロイドの解体作業を開始した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ