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午前3時のタイムループ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
8/17

8.

 タカシは、ニーナの妄想めいた話がやっと理解できた。


 彼女は、午前3時の直前にQ科学研究所の時空の実験が暴走することで24時間前の午前3時に戻り、それから24時間後の午前3時の直前になると、また暴走して過去の同じ時刻に戻る。つまり、1日が永遠にループしていると思い込んでいるのだ。


 アンドロイドが妄想するなんて聞いたことがないので、どういうプログラムのバグなのか知らないが、とにかく目の前にいるニーナはそう妄想している――としか思えない。


(どうしよう……。話に付き合った方がいいのかなぁ?)


 今ここで電源を切ることは、出来なくもない。その後で放置して、6時に出社する先輩たちの応援を借り、電源を再投入してから押さえ込んでコマンドを投入する。


 タカシは、ニーナの電源を切るためにスルスルッと近づいた。


「電源を切るのですか? 人の話を聞いてはくれないのですか?」


 ニーナの真剣な眼差しに射すくめられ、タカシの作戦は霧散した。


(こうなったら、少し話に付き合ってやるか)


 タカシは、頭を掻きながら真面目な顔で会話を開始した。


「ニーナは、その研究所に行って、どうやって暴走を止めるんだい?」


「暴走前に装置を停止させます。電力の供給をストップさせれば可能です」


「それ、最悪の話、施設に乗り込んで電源系統を破壊するとも聞こえるけど」


「作戦は極秘です。これ以上は言えません」


「作戦……。まあ、言えないなら、いいや。……でもさぁ」


「何でしょう?」


「不思議なんだよねぇ」


「何がですか?」


 タカシは少し横を向いて、またポリポリと頭を掻き、横目でニーナを見る。


「世界が24時間前に戻るんだよね? それなのに、なんでニーナだけ、24時間前に記憶が戻らないんだい? 僕たち人間の記憶も、おそらく動物の記憶も24時間前に戻るのに」


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