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午前3時のタイムループ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
4/17

4.

 床に転がっているのが人間ではないのに、心を注いでしまう。「あれは機械だ」と自分に言い聞かせても、脳が人間に相対する時のように反応する。まるでそこに女性が倒れているかのような錯覚を抱かせるのだ。


 この状態から脱却するには、気を紛らすしかない。


 タカシはスマホで友達とチャットをし、これを観ろと送られてきたオモシロ動画を鑑賞し、ケラケラと笑う。缶ジュースも空になり、時が経つのも忘れて、床に転がっている女性へも意識が向かなくなった。


 そうして、そろそろかなと時計をのぞくと、


「ヤバっ! 時間過ぎた!」


 時刻は2時40分。予定より10分遅刻だ。


 まだ肩や腕が痛いし、握力も完全に戻っていないので10分の遅れは大きい。


 そうはいうものの作業は開始しないといけない。タカシは大慌てで椅子から立ち上がり、女性のアンドロイドの横に駆けつけてしゃがみ込んだ。


「うわぁ……間近で見ると、超美人」


 思わず、心の声が漏れる。


 二十代後半で西洋人の顔立ち。栗色の髪がショートヘアで、ターコイズブルーの(そう)(ぼう)がキラキラと輝き、陶器のように艶々とした肌。店頭でマネキンの代役をさせても、十分に人目を引く。解体するのがもったいないほどだ。


 服はピンク色でケーシー型の――丈が短くタートルネックになっているナースウェア。看護師だったのだろうか。


「こんなの廃棄するなよ……」


 嘆息するタカシだったが、アンドロイドに同情を寄せている暇はない。


 彼はアンドロイドの頭脳に入っているデータを消去するため、女性の首の後ろに手を回し、スイッチを探してから電源を投入した。


 (かす)かに、ブーンと音がしてアンドロイドの起動が始まった。

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