13.
午前2時55分。
蛇行の続いた道がようやく直線になると、5、6百メートル先の突き当たりに研究所の建物と正門が見えてきた。外灯の光で建物の姿がボウッと浮かび上がっている。
今から約5分後の午前3時の直前に、あそこで時空の実験が暴走する。その事故が引き金となって、24時間前の午前3時に戻ってしまうのだ。
もし間に合わなかったらと思うと背筋が凍り付き、震恐で歯の根が合わなくなる。
「正門ではなく裏門へ行って!」
急にニーナがタカシの後頭部に向かって声をかける。
「えっ、何!?」
「裏門に回って!」
「わかった!」
今見えている正門までの距離なら到着まであと30秒ほどだが、指定場所はグルッと裏手に回らなければならない。広い敷地の建物なのでプラス30秒、つまり、あと1分はかかるはず。到着したら急いで彼女を下ろし、そこから先は彼女に全てを託して、ひたすら祈るしかない。
手前の十字路にある信号機は青。
ところが、それが黄色に変わった。
「ヤバっ! 一気に抜けるぞ!」
タカシは、右手でアクセルをひねり、グンと加速する。
ところが、十字路の左側からライトが光り出した。
左角には建物があって見えないが、交差点に接近中の車両だろう。でも、向こうの信号は赤だから停車するはずで心配ない。
タカシとニーナを乗せたバイクは、信号が黄色から赤に変わる寸前ですり抜けようと、目一杯の速力で十字路へ突進した。と、その時――、
ブロロロロッ。
十字路の左から、車高の低い車が信号を無視して飛び出した。




