復讐を願う者、人の生を願う
助けられる命。
救えるのは貴方だけかもしれません。
彼女の病気は彼女自身には伏せられていて、よく分からない不安と恐怖に駆られていた。
そして、彼女は僕に言った。
「もう死にたいよ…」
「死んでも意味無いだろ!死んだらダメだ!!」
その瞬間僕の中の何かが動いた。
復讐の為に人を殺してしまおうとしてた僕が、死にたいと思っている彼女に死ぬなと言っている。
相当な矛盾だ。
なのに、僕は彼女を死なせたくなかった。
生きて欲しかった。
僕は馬鹿だ。
他人に自分のわがままを押し付けようとしてる。
それでも、僕は彼女に生きて欲しかったんだと思う。
彼女は言う。
「関係ないでしょ?私が死んでも誰も悲しまないよ。」
「少なくとも僕は悲しむ!他にも悲しむ人は絶対居るから!」
そうだ。僕は彼女が死んだら悲しいのだ。
彼女には僕の分まで幸せになって欲しいのだ。
相当な押し付けだな…
「居ないよ!私にそんな価値なんてないもん!」
彼女の叫びは悲しみにくれて、絶望の色を見せながらも、助けを求めているように聞こえた。
「じゃあ、本気で死にたいの?」
「死にたい訳無いじゃん!」
「じゃあ、諦めるな!生きろ!」
「無理だよそんなの!毎日いじめられているんだよ!?この辛さ貴方には分からないでしょ!!?」
辛さか…
分かるさ…痛い程分かる…
だからこそ、僕は彼女を助けたいのだと思う。
「分かるよ…僕も君ぐらいの時にいじめられていたからね。」
「え?」
「僕は彼らがとても憎くて今でも忘れられなくて殺したいくらいさ。」
僕は彼女に僕と同じ道は辿って欲しくない。
だから、1つ嘘をついた。
「だけど、生きてれば良い事が起こると信じて、信じ続けて、君に会ったんだよ。」
「・・・」
「確かに今は辛いかもしれない。病気の不安もあるかもしれない。だけど、諦めたら終わりだよ?辛かったら僕に愚痴っても良い。だから、生きて。」
チャットだから相手の顔は分からないけれど、彼女は俯き、泣いているんだと感じた。
きっと彼女にはこれからも辛い事が起こると思う。
でも、どうか生きて欲しい。
僕はスマホから目を外し、外を見た。
空には、綺麗な星空と満月が輝いていた。
読んでくださりありがとうございます。
死んだら悲しむ人は必ず居ます。
だから、死にたいと思っている人はどうか泥まみれになってでも生きて下さい。
誰にでも相談していいんです。
なんなら僕でもいいですよ。
人は1人では生きていけない動物ですから、頼る事は恥ずかしくはないです。
誇りに思ってください。