1.夏休みにて ~音葉side~
「あと休みも少しかぁ」
残りわずかな夏休み。花火やお祭りに遊園地やプール。一通りはこなしたし、昨日買ったゲームでもするかなぁ。たいして面白くもないテレビをぼんやり観ながらだらだらと考える。
せっかくの休みなのに動くのも面倒になってきた。
そんな時。
「誰かな。ミキちゃんだったら出掛けようかな」
リビングのソファーに一人寝転んでいた私は、着信の音でスマホを探した。どうも背中が痛いと思ってたんだよね。隙間から携帯を引っこ抜き見てみれば。
『よっ。ついでに音葉んとこ顔だすわ』
今年の春から東京の親戚の家に居候しながら高校へ通っている腐れ縁の奴からだった。
「というか数分?」
ピーンポーン
数分どころかドアホンが鳴った。いやいや早くない?!
思わずTシャツ短パンの自分の姿をみおろすが。
「…ま、いっか」
どうせ奏人なのだ。
「はーい!」
私は聞こえないだろうけど玄関に向かって返事をして、やっとソファーから動きだした。
「よっ!」
「…よっ」
ドアを開ければ、むわっとした湿気を含んだ暑さが流れこんできた。それとは対象的に爽やかな表情で元気に挨拶をされた。
そうだ、こいつに聞いてみるか。
「ねー私のお高いアイスあげるから話にのって」
私は久しぶりに会った幼馴染みに愚痴り始めた。