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俺達だけの『ゆうじょうざ』  作者: 狗神のデシ
3/3

ゆうじょうざ

3、ゆうじょうざ

「っ!頭が痛い」

昨日親父とおじいちゃんとお酒で飲み比べをした。今日は10月28日。つまり約束の日である。しかし昨日カンカンの箱に入っていた物は何なのだろう。

 昨日ノブと俺はノブの持っている木の板をもとにカンカンの箱を見つけた。しかしそのなかに入っていたのは、二つだけだった。一つ目は地図である。なんとなくの道のりが書かれていて、そのほかに『夜の7じ』と書いてあった。二つ目は良くわからない。四角い穴の空いた厚紙だったのだ。そこには『ゆうじょうざ』と書かれていた。

 ふと時計を見ると正午を回っていた。はぁとため息をつくと、昼御飯を食べようと冷蔵庫の中を見た。すると黒豆とキムチがあったのでこれを冷凍庫の中のごはんを暖めて一緒に食べようと考えた。もそもそと食べていると、親父が二階から降りてきた。

「おはよう長平。昨日どこへ行ってたの?」

「ん?あ~ラーメン屋と〇〇公園に行ってたよ。」

「そっか。」

「それでなんだけど。今日6時から用事があるからそこに行くね。」

「あ~。わかった。」

そう言うと、親父は自分の部屋である二階へ上った。

 夜6時30分。昨日帰りの途中に決めた待ち合わせ場所に向かっていると、ノブが待っていた。

「ごめん。遅れた。」

「3分の遅刻だ。」

昔からだが、こいつはいつも時間に厳しい。逆に自分が遅刻した時は切腹する勢いで謝って来る。「それじゃ行こっか。」

ノブは地図を見ながら森の中へ進んで行った。まっすぐ行って、右に曲がってまたまっすぐ行って...ずんずん進んで行った。

「まだ?」

「もう少しかかりそう。」

そして10分歩いて行くといきなりノブが立ち止まった。

「ここだ。」

のだの指差す方向はなんと工事現場だった。

「ちょーへー。先に行け。」

と言うと俺を肩車した。こいつこんなに力があったのか。と感心してしまった。しかしそんな事よりもっと恐ろしい事を思った。それはこいつの手が異様に冷たいのだ。

「誰だ‼」

奥からおじさんの声がした。見るとガードマンだった。

「まずい。」

俺は柵を超えると、ノブに手を差し出した。しかしノブはその手を取ろうとはしなかった。すると次の瞬間、ノブが透けているように感じた。そして

「ゆうじょうざはここにある。」

そしてあの穴の空いた厚紙を俺に投げた。気がつくとノブはそこから消えていた。

「早く出てきなさい!!」

ガードマンが叫んだ。

「くっそーーー!!!!」

気がつくと俺は泣いていた。泣きながら走った。

「こ、こら!!」

ガードマンが追い掛けて来る。俺は寝そべって空にノブが消える直前に投げた穴の空いた厚紙を掲げた。

その後知ったが、ノブは1年前事故で亡くなってしまったらしい。今思うと確かにノブは変だった。ノブが死んでしまっても空にあるあの星座へ無くならない。

 そう。『俺達だけのゆうじょうざ』は。

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