再会
1、再会
確かに久しぶりに帰って来た。電車に揺られて5時間(乗り換えあり)。乗り物酔いしながらも、駅を出ると故郷の収穫仕立ての稲の香りをかいだ。
ここは俺、丹波長平にとって一番行きたくない場所であり、故郷である。稲の香りなんて昔嗅ぎ飽きたし、周りには田んぼしかない。少しぐらい野菜でも作れば良いのにと昔から思っている。
長平は今年二十歳を迎えた大学生で昨日、無理を言って一週間休ませてもらった。そこまで頭の良い大学ではないが、一応学年で1位2位をとっているため、先生から一目置かれている。だから休ませてもらったのかもしれない(ニヤニヤ)。
がさがさ...
「!!」
なんだ?と振り向くが、誰もいない。まったく、ホラーじゃあるまいし。と気にせずに家へ向かった。
さっき話した通り、ここは俺にとって一番行きたくない場所なのである。そんな場所にわざわざ大学を休んでまで来た理由は母に来い。と言われたからである。
3日前、、、
電話が鳴ったスマホを見ると母からだった。せっかくの休みの日なのにと思い電話を無視した。するとまた電話がかかって来た。しょうがないので電話に出ると元気な母の声が聞こえた。
「長平。今大丈夫?」
「何?母さん。」
「10月28日までに家に帰って来てくれない?」
唐突だった。
「は、はい?」
「だから10月28日までに家に帰って来て欲しいのよ。」
「祭りの手伝い?この季節に祭りなんてあったっけ?」
「違うわよ。あなたが知ってるんじゃ無いの?」
「何で俺が?」
「知らないわよ。ただし絶対に来なさい。わかった?」
ブチッ。ツーツーツー。強制的に切られてしまった。
そんな事があって今になるのです。
「まったく。意味が分からん。」
俺は空に向かって叫んだ。
がさがさ。
「!!?」
またあの音だ。いったいなんなんだ?と思いながらも家に向かった。
数分後。やっと家に着いた。こういうところも嫌いな理由の一つではある。
「こんにちは。」
「あっ。お帰り長平。」
母さんが出てきた。その後じいちゃんと父さんの声もした。
家に上がると母さんのいる居間へ行った。
「母さん。」
「なーに?」
「何で呼び戻したの?」
「ちょっと待ってね。」
と俺の部屋へ行った。すぐに戻って来て、13枚の束になっている紙を渡した。『8年後のカレンダー』と書いてある。所々間違えもあるが、10月28日。つまり明日に帰って来ると書いてあった。
整理するためにここから出ようと思った。
「散歩して来る。」
「え?今から?」
「うん。」
そう言うと俺は家を出た。また収穫仕立ての稲の香りが鼻に集まった。いつの間にか乗り物酔いがなくなっていた。
がさがさ。
さすがにおかしいと思い、音の鳴る方へ行った。
「誰か居るのか?」
俺は茂みに向かって話した。
「何してるの?ちょーへー。」
聞き慣れた声がした。振り向くと
「あっ。ノブ。」
そこには、小中高で一緒だったノブこと小田信夫がいた。




