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俺達だけの『ゆうじょうざ』  作者: 狗神のデシ
1/3

再会

1、再会

 確かに久しぶりに帰って来た。電車に揺られて5時間(乗り換えあり)。乗り物酔いしながらも、駅を出ると故郷の収穫仕立ての稲の香りをかいだ。

 ここは俺、丹波長平にとって一番行きたくない場所であり、故郷である。稲の香りなんて昔嗅ぎ飽きたし、周りには田んぼしかない。少しぐらい野菜でも作れば良いのにと昔から思っている。

 長平は今年二十歳を迎えた大学生で昨日、無理を言って一週間休ませてもらった。そこまで頭の良い大学ではないが、一応学年で1位2位をとっているため、先生から一目置かれている。だから休ませてもらったのかもしれない(ニヤニヤ)。

 がさがさ...

 「!!」

なんだ?と振り向くが、誰もいない。まったく、ホラーじゃあるまいし。と気にせずに家へ向かった。

 さっき話した通り、ここは俺にとって一番行きたくない場所なのである。そんな場所にわざわざ大学を休んでまで来た理由は母に来い。と言われたからである。

 3日前、、、

 電話が鳴ったスマホを見ると母からだった。せっかくの休みの日なのにと思い電話を無視した。するとまた電話がかかって来た。しょうがないので電話に出ると元気な母の声が聞こえた。

「長平。今大丈夫?」

「何?母さん。」

「10月28日までに家に帰って来てくれない?」

唐突だった。

「は、はい?」

「だから10月28日までに家に帰って来て欲しいのよ。」

「祭りの手伝い?この季節に祭りなんてあったっけ?」

「違うわよ。あなたが知ってるんじゃ無いの?」

「何で俺が?」

「知らないわよ。ただし絶対に来なさい。わかった?」

ブチッ。ツーツーツー。強制的に切られてしまった。

 そんな事があって今になるのです。

「まったく。意味が分からん。」

俺は空に向かって叫んだ。

 がさがさ。

 「!!?」

またあの音だ。いったいなんなんだ?と思いながらも家に向かった。

 数分後。やっと家に着いた。こういうところも嫌いな理由の一つではある。

「こんにちは。」

「あっ。お帰り長平。」

母さんが出てきた。その後じいちゃんと父さんの声もした。

家に上がると母さんのいる居間へ行った。

「母さん。」

「なーに?」

「何で呼び戻したの?」

「ちょっと待ってね。」

と俺の部屋へ行った。すぐに戻って来て、13枚の束になっている紙を渡した。『8年後のカレンダー』と書いてある。所々間違えもあるが、10月28日。つまり明日に帰って来ると書いてあった。

 整理するためにここから出ようと思った。

「散歩して来る。」

「え?今から?」

「うん。」

そう言うと俺は家を出た。また収穫仕立ての稲の香りが鼻に集まった。いつの間にか乗り物酔いがなくなっていた。

がさがさ。

さすがにおかしいと思い、音の鳴る方へ行った。

「誰か居るのか?」

俺は茂みに向かって話した。

「何してるの?ちょーへー。」

聞き慣れた声がした。振り向くと

「あっ。ノブ。」

そこには、小中高で一緒だったノブこと小田信夫がいた。

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