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僕と彼女のリア充ライフ  作者: 一条二豆
第四章 修学旅行
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第十四話 最高の時間

 白い恋人パークにいられる時間は一時間しかない。その一時間の中でなにをするか全く決めていなかったため、俺たちはまず案内掲示板へと向かった。


「どっか行きたいとこある?」

「うーん…どこでもいい」

「そりゃ困ったな」


 しかし、ここに行こうとはすぐにはならなかった。二人とも優柔不断だし適当な性格をしているからな。

 白い恋人を実際に作ることができる体験コーナーが一番おもしろそうなのだけれど、先生からそこに行くことだけは禁止されている。


「じゃあ…適当にぶらぶらすっか」

「そうだね」


 結局なにも思いつかず、パーク内を散策することになった。

 館内に入るとその内装にまず驚いた。まるで城の中に入ったかのようだった。

 中央にそびえる大きな階段や高級そうなカーペット、煌びやかな飾りなどでもうどこへ来たのかわからないくらいだ。


 ここまで力を入れているのかと圧巻しながら、俺たちは二階に上がってみた。二階にはなぜか鉄腕アトムや真実の口などが置かれていた。ほんとどこに来たのかわかんねえよ。

 とりあえず、なんとなくおもしろそうだった真実の口へと向かった。


「なんで白い恋人パークに真実の口が…?」

「さあ?」


 館内に入る前に感じたメルヘンさはどこへ?

 俺が不思議に思っていると双葉が柏手を打った。


「そうだ、手入れてみる?」

「そうだな、せっかくだし…」

「オレは入れないけど」

「なんで?」

「なんか仕掛けられてそうだから」


 つまり実験台ということですかそうですか。


 意固地になってやらないのもおかしな話なので、俺はしかたなく一人で真実の口の中に手を突っ込んでみた。

 すると、


「ウぁエァぁぁぁ!」

「「…」」


 真実の口から突然奇妙な唸り声が上がった。しかし、俺たちのリアクションはとても薄かった。


「なんだ、こんだけなんだ…」


 双葉もがっかりした様子だった。でも人にやらせといてその言い草はなくない?

 真実の口を楽しんだ(?)後は、一緒にジェラートを食べた。一階の売店に売っていて、双葉がわけて食べようと言って買うことになった。


 いちごの風味が絶妙なジェラートだったが双葉は「歯が痛い」だとか「お腹痛い」だとか言いながら食べていた。双葉は冷たいものを食べると体調い影響が出るらしい。食べなきゃいいのに、と思うのは俺だけなのだろうか。


 短い時間の中でたくさん笑った。一生分くらい笑ったと思う。可笑しかったり、微笑ましかったり、いろんな種類の笑顔を浮かべた。双葉の笑顔も溢れるくらい貰った。特別ときめいたり、緊張したりする時間ではなかったけれど、お互いが好きだとわかる最高の時間になった。


「ありがと、杉下」

「いえいえ、こちらこそ」


 一時間なんてあっという間で、気づいたらもう集合時間がきた。修学旅行中にこんなに堂々と双葉と一緒にいられるのは、これが最初で最後だろう。市場はお互いに別々で行動するからもう会うことはできない。


 俺と双葉は手を振りあってバスへと戻る。


「バイバイ」

「おう、またな」


 短く淡泊な別れの挨拶。楽しい時間の終わり方がいかにも俺たちらしいと思った。



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